コンタクトセンターのソリューションとは?おすすめ・カスハラ条例など

顧客との接点が電話からチャット・SNSへ広がり、応答速度や一次解決率まで厳しく問われる時代です。コールセンターはクラウド基盤の柔軟性とAIの分析力を武器に進化するターニングポイントに立っています。
本記事では、クラウドCTIやAIチャットボットをはじめとする最新ソリューションを比較し、業務効率化・CX向上を実現する具体策を解説します。

目次

1.コンタクトセンターのソリューションとは

(1)コンタクトセンターのソリューションとは

コンタクトセンターソリューションとは、企業が顧客対応を効率的かつ高品質に行うために活用するシステムやツールの総称です。従来、コールセンターの多くはオンプレミス型(自社サーバー設置型)システムを使用してきましたが、以下のような課題を抱えていました。

  • システムの保守・管理にコストと時間がかかる
  • アップデートや機能追加が柔軟にできない
  • テレワークや在宅勤務への対応が困難
  • 災害・障害時のリスク分散(BCP対応)が難しい

このような背景から、クラウド型コンタクトセンターソリューションへの移行が急速に進んでいます。クラウド型は、スピーディな導入が可能で、システムの自動更新や柔軟なスケール調整にも対応できます。
保守負担が軽く、初期投資も抑えられるため、業務効率化とコスト最適化の両面で効果を発揮します。

(2)DX推進と顧客接点の変化が求めるソリューションの進化

近年、顧客との接点は「電話」だけでなく、メール・チャット・SNS・Webフォームなど多様化しています。このようなオムニチャネル化に対応するには、すべてのチャネルで一貫性のある応対ができる体制が必要です。従来型システムではそれが困難であり、結果として「対応の属人化」「顧客満足度の低下」につながるケースも増えてきました。

こうした状況に対し、最新のコンタクトセンターソリューションでは以下のような機能が強化されています。

  • AIによる音声認識や通話内容のリアルタイム分析
  • IVR(自動音声応答)やチャットボットによる一次対応の自動化
  • CRMとの連携による顧客情報の一元管理とパーソナライズ対応
  • 通話録音・文字起こし・評価スコアリングによる品質管理と教育支援

これらの技術により、対応時間の短縮、顧客満足度の向上、オペレーターの負担軽減を実現します。さらに、これらの取り組みは企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進そのものであり、形だけの業務改善ではなく、競争力強化に直結する戦略的要素といえるでしょう。
コンタクトセンターは今や、一般的な電話受付の現場ではなく、企業のブランド価値と顧客体験(CX)を支える重要な基盤に進化しています。

(3)コンタクトセンターの課題

顧客対応の中心であるコンタクトセンターは、チャネルの多様化・人材不足・ストレス増大という課題を抱えています。

まず、オムニチャネル化への対応が急務です。電話だけでなく、メール・チャット・SNS・Webフォームなど、顧客接点は急速に拡大しました。

主な課題現場で起きていること
チャネルの分散対応履歴が分断し、同一顧客でも対応品質に差が生じる
人材不足と教育負担離職率が高く、ベテランへの負担が集中
カスタマーハラスメント暴言・過剰要求などでオペレーターのストレス増大

従来のシステムではこれらを統合的に管理できず、結果として対応の属人化や顧客満足度の低下につながるケースが増えています。

(4)コンタクトセンターのソリューションの機能

コンタクトセンターソリューションには、業務効率化と顧客満足度向上を実現するための多彩な機能が備わっています。代表的なものとして、まずCTI(Computer Telephony Integration)があります。これは電話とPCを連携させ、着信時に顧客情報を自動表示する機能で、スムーズな対応を支援します。

さらにCRM(顧客情報管理)と連携することで、過去の応対履歴や購入履歴をもとに、パーソナライズされた応対が可能になります。IVR(自動音声応答)やチャットボットを使えば、よくある問い合わせを自動処理し、オペレーターの負担を軽減できます。

用語意味・概要
CTI(Computer Telephony Integration)・電話とコンピューターを連携させる技術
・顧客情報のポップアップ表示や着信管理が可能
CRM(Customer Relationship Management)・顧客との関係を管理、最適化するシステム
・応対履歴や購入履歴などを一元管理
IVR(Interactive Voice Response)・自動音声ガイダンスにより、顧客がプッシュ操作で用件を選択できるシステム
チャットボット・テキストベースで自動応答を行うAI型の問い合わせ対応ツール
クラウド型・インターネット経由で提供されるサービス形態
・物理的なサーバー設置が不要で、導入や管理が容易

通話録音や音声解析文字起こし機能などにより、応対品質のモニタリングとスタッフ教育にも活用できます。これらの機能をクラウド型で提供することで、場所やデバイスを問わず柔軟に運用できる点も大きな魅力です。

2.コンタクトセンター業務の改善に役立つおすすめソリューション5選

コンタクトセンターでは業務効率の向上顧客満足度の最大化が常に課題となります。近年はクラウドやAI(人工知能)の活用によって、電話応対からマルチチャネル対応まで柔軟に進化するソリューションが登場し、これらの課題解決を後押ししています。ここでは、コンタクトセンター業務の改善に役立つおすすめのソリューション5選を紹介します。

(1)Cloud CTI&AI(クラウドCTI&AI):株式会社ストラーツ

引用:株式会社ストラーツ

Cloud CTI&AIは、ストラーツ社が提供するクラウドコンタクトセンター構築サービスです。その最大の特徴は、顧客企業ごとの業務ニーズに合わせてフルカスタマイズ開発できる点にあります。クラウド技術とAIの力を組み合わせることで、各社のコールセンター業務をよりスマートかつ柔軟にすることを目指したソリューションです。専門の技術スタッフが直接ヒアリングを行い、システムをゼロから提案・構築してくれるため、自社のビジネスに最適化された唯一無二のコンタクトセンターシステムを実現できます。

料金こちらからお問い合わせできます
機能・フルカスタマイズ対応
・独自AIによる自動応答機能
・コストパフォーマンスに優れた透明な料金体系
所在地東京都港区南青山3-8-40青山センタービル2F
運営会社株式会社ストラーツ
詳細株式会社ストラーツ(公式HP)

(2)MiiTel(ミーテル):株式会社RevComm

引用:https://miitel.com/jp/

MiiTelは、RevComm社が提供するAIを活用した通話解析ソリューションで、主に電話営業やコンタクトセンターの応対品質改善に特化したクラウドCTIシステムです。独自開発のAIエンジンによりオペレーターのトークを解析・スコアリングし、アポイント獲得率や成約率の向上につなげることができます。比較的新しいサービスながら、その画期的な機能によりスタートアップから大企業まで幅広く導入が進んでいます。

料金お問い合わせでご確認ください
機能・自動文字起こし・要約機能
・通話データ分析機能
・AIコーチング機能
所在地東京都渋谷区渋谷1-3-9 ヒューリック渋谷一丁目ビル7階
運営会社株式会社RevComm
詳細公式HP

(3)BIZTEL コールセンター(ビズテル):株式会社リンク

引用:https://biztel.jp/

株式会社リンク社が提供するBIZTELコールセンターは、日本国内で導入社数2,000社超を誇るクラウド型コールセンター/CTIシステムです。8年連続シェアNo.1(クラウド型コールセンター市場)という実績が示す通り、大手企業から中小規模まで幅広く利用されています。インターネットとPCさえあれば短期間で本格的なコールセンターを構築でき、在宅オペレーターの活用や既存システムとの連携など柔軟性が高い点が支持されています。

料金お問い合わせでご確認ください
機能・コールセンター機能の網羅
・AI・外部サービス連携
・柔軟なクラウド運用
所在地東京都港区北青山 2-14-4 アーガイル青山 14階 / 15階
運営会社株式会社リンク
詳細公式HP

(4)Amazon Connect(アマゾン コネクト):アマゾン ウェブ サービス(AWS)

引用:https://aws.amazon.com/jp/connect/

Amazon Connectは、AWSが提供するクラウド型コンタクトセンターサービスです。インターネット経由でコールセンターの機能を利用でき、従来のPBXや専用機器を持たずに短期間でコールセンター環境を立ち上げられるのが特徴です。利用料金も従量課金制で、ピーク時以外のコストを抑えられるなど柔軟な運用とコスト効率に優れています。

料金お問い合わせでご確認ください
機能・基本的なコールセンター機能の充実
・AI・AWS連携による高度化
・柔軟なクラウド構築とBCP対応
所在地東京都品川区上大崎3丁目1-1 目黒セントラルスクエア
運営会社アマゾンウェブサービスジャパン合同会社
詳細公式HP

(5)Genesys Cloud(ジェネシスクラウド):ジェネシスクラウドサービス株式会社(Genesys)

引用:https://www.genesys.com/ja-jp/genesys-cloud

Genesys Cloudは、Genesys社が提供するグローバルで高いシェアを誇るクラウド型コンタクトセンターソリューションです。電話・メール・チャットなどあらゆるコミュニケーションチャネルに対応しており、コンタクトセンターに必要な機能をオールインワンで提供します。AI機能も充実しており、自動音声応答や通話内容の自動要約・分析などを活用して業務効率化とサービス品質向上を図ることができます。

料金お問い合わせでご確認ください
機能・マルチチャネル対応
・AI活用による効率化
・クラウド基盤による柔軟運用
運営会社Genesys社
詳細公式HP

 3. コンタクトセンターの業務改善等に重要なステップ 

(1)課題の洗い出しと目標設定

コンタクトセンターの業務改善において、最初に取り組むべきステップが「課題の洗い出しと目標設定」です。やみくもに施策を導入するのではなく、現場の実態に即した改善を行うためには、まず現状把握と可視化が不可欠です。

最初に行うべきは、客観的なデータの収集と現場ヒアリングです。たとえば、通話ログや応答率、保留時間、平均処理時間(AHT)といったKPI(重要業績評価指標)を活用することで、どこにボトルネックがあるのかを分析できます。あわせて、現場スタッフからのヒアリングによって、数値には表れにくい業務上の負担や運用の歪みも洗い出すことができます。

こうして把握した課題に対しては、改善すべき指標と具体的な目標値を設定します。たとえば「一次応答率を90%以上に引き上げる」「AHTを10%削減する」「顧客満足度(CSAT)を5点満点中4.5以上に維持する」といった目標です。

重要なのは、目標が現実的かつ測定可能な数値であることです。曖昧な目標では改善効果を評価できず、PDCAサイクルの実行も困難になります。課題の的確な抽出とKPI設定は、その後の施策立案・検証の基盤となる重要な工程です。

(2)PDCAを回す

PDCAサイクルは、コンタクトセンターにおける業務改善を継続的に進めるための基本的なフレームワークです。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4段階を繰り返すことで、現場の課題を段階的に解消していきます。

Plan(計画)収集したデータや現場の状況をもとに課題を分析し、応答率・処理時間などのKPIを明確化して改善目標を設定
Do(実行)設定した目標に基づき、マニュアル改訂・ツール導入・オペレーター教育などの施策を現場で実施
Check(評価)対応件数や顧客満足度(CSAT)などの数値データを収集・分析し、施策の効果を客観的に検証
Act(改善)評価結果から課題や不足点を抽出し、次の改善計画に反映。業務改善を継続的に循環させる

PDCAサイクルの定着には、運用体制の見直しが不可欠です。マニュアルの整備や人員配置の最適化、研修強化によって、現場が改善施策を継続的に実行できる基盤を整えます。

(3)カスタマーハラスメント対応フローチャートを作成する

コンタクトセンターでは、増加傾向にあるカスタマーハラスメント(カスハラ)への的確な対応が重要な課題となっています。暴言や過度な要求への対応を誤ると、現場の混乱やオペレーターの精神的負担につながるため、あらかじめ判断基準と対応手順を明文化しておくことが不可欠です。

東京都が公開しているガイドラインでは、「社会通念を逸脱する言動」や「不当な謝罪・金銭の要求」などがカスハラの例として挙げられています。これを参考に、例えば「暴言や人格否定があるか」→「録音・記録を実施」→「管理者へエスカレーション」→「継続困難と判断すれば対応終了」といった流れを定めておくと、現場オペレーターの判断基準が明確になります。

このようなフローチャートの作成・社内共有により、従業員のメンタルを守りつつ、一貫性のある顧客対応体制を構築することができます。

4. カスタマーハラスメントへの対応と東京都の条例

(1)カスタマーハラスメント(カスハラ)とは

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客による暴言・威圧・過度な要求などにより、従業員が精神的苦痛を受ける行為を指します。
日本では「お客様は神様」という意識が根強く、不当な要求にも対応せざるを得ない場面が多く見られました。特にコンタクトセンターは、電話やチャットといった非対面チャネル特有の匿名性から攻撃的な言動が起こりやすく、オペレーターの心理的負担が大きい業種です。

主な課題影響求められる対応
暴言・人格否定などの言動オペレーターのメンタル不調・離職カスハラの定義と対応方針の明文化
過度な要求・不当な謝罪強要判断ミスや不適切対応の増加対応マニュアル・エスカレーション体制の整備
SNSでの誹謗中傷・晒し行為企業イメージの毀損AIによる通話分析・感情検知で早期対応

またSNSの普及により、クレームが拡散して企業の信頼を損なうケースも増加しています。こうした背景から、カスハラは現場レベルの問題ではなく、企業全体で取り組むべき労務・リスクマネジメントの課題へと変化しています。

(2)東京都カスタマーハラスメント防止条例の概要

カスタマーハラスメントが社会問題化するなか、東京都は2025年4月1日に全国初となる「カスタマーハラスメント防止条例」を施行しました。
この条例は、顧客による暴言や不当要求といった迷惑行為を抑止し、従業員が安心して働ける環境を整備することを目的としています。

条例では、都民・事業者・行政それぞれに明確な責務が定められています。
都民には「他人の尊厳を傷つけないこと」、事業者には「従業員を守るための社内体制整備」、東京都には「相談窓口の設置や情報発信の強化」が求められています。

区分主な内容
都民の責務他者への敬意を持ち、従業員の尊厳を損なう言動を行わない。
事業者の責務カスハラ防止方針やマニュアルの策定、従業員の安全確保措置を講じる。
東京都の責務相談窓口の設置、ガイドラインや啓発活動を通じた情報発信を行う。

罰則こそ設けられていませんが、「カスハラは違法行為である」という社会的メッセージを明確に示した点が最大の意義です。
東京都はさらに、判断基準や対応フローを示すガイドラインの整備、事業者向けセミナーの開催などを進めており、この動きを契機に全国的な制度化や企業の対策強化が加速するとみられます。

参考:https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/kaizen/ryoritsu/kasuhara/index.html

(3)カスタマーハラスメントへの具体的な対応策

カスハラから従業員を守りながら、企業としての顧客対応品質を維持・向上させるためには、社内体制の整備が欠かせません。
特に、判断基準の明確化やエスカレーションの仕組みづくりなど、現場が迷わず対応できるルールの整備が重要です。
以下に、有効な具体的な対策を示します。

項目内容
対応方針とマニュアルカスハラの定義と対応基準を明文化し、全オペレーターに共有。
研修と心理ケア兆候察知・冷静対応の研修を実施し、相談体制でメンタルを支援。
エスカレーション体制暴言や人格攻撃など一定基準で管理者へ報告する仕組みを構築。
通話打ち切りルール警告後も改善されない場合は通話を終了できる明確な基準を設定。

このような仕組みを事前に整えることで、現場の判断負担を軽減し、オペレーターが安心して対応できる環境を構築できます。

5. まとめ

本記事では、コンタクトセンター業務における課題と、それを解決するための最新ソリューションや改善手法について詳しく解説しました。

コンタクトセンターを取り巻く環境は、チャネルの多様化、人材不足、カスタマーハラスメントの深刻化など複合的課題が同時進行しています。これらを解決する鍵がクラウドとAIを柱としたコンタクトセンターソリューションです。

業務の複雑化や人材不足、応対品質のばらつき、そしてカスタマーハラスメントといった現代的な課題に直面する中で、クラウドやAIを活用したコンタクトセンターソリューションの導入は、業務効率化と顧客満足度の両立を可能にする有力な手段です。

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