コールセンターの運営では、限られた人材の採用・育成に加え、いかに業務を効率化するかが大きな課題となっています。
実際に、国内のコールセンター・コンタクトセンターのうち76.3%が人手不足対策を目的にAIソリューションの導入または検討を進めている※ と回答しています。つまりコールセンターにおけるAI音声認識技術が事業の持続性を左右する重要な施策であることを示しています。
本記事では、コールセンターのAI音声認識おすすめ16選を紹介し、種類や音声変換機能の概要も解説します。
※出典:https://www.ntt.com/content/dam/nttcom/hq/jp/bizon/pdf/contactcenter-trends.pdf
1.コールセンター向けAI音声認識システムサービスのおすすめ16選
(1)Cloud CTI&AI

Cloud CTI&AIは、開発協力でフルカスタムのAI音声認識システムの検証にかかる費⽤がほぼ無料で利用できます。
開発の専門家が既存システムとの連携・必要な機能の追加などの導入支援を行うため、導入時のリソース負担も大幅に軽減できることが魅力です。

さらに独自AIによる音声認識機能を提供しており、他社が提供している自動文字起こしや感情分析などの基本機能も網羅しています。
- 開発協力で検証にかかる費用がほぼ無料で利用を開始できる ※社数限定
- 利用料以外、追加の改修・開発費用は一切かからない
- 導⼊後のフルカスタマイズ伴⾛が無料
またよくある機械⾳声とは別物であり、自然で流暢な受け答えが可能です。
Cloud CTI&AIなら導入の負担を抑えながら、高品質かつ自社にあわせたフルカスタマイズのAI音声認識システムを活用できます。
| 特徴 | ・開発協力でフルカスタムがほぼ無料 ※社数限定 ・追加の改修・開発費用がかからない ・自社にあわせたフルカスタマイズが可能 |
|---|---|
| 料金 | コチラからご確認いただけます |
| 提供元企業 | 株式会社ストラーツ |
(2)COTOHA Voice Insight

COTOHA Voice Insightは、通話音声をリアルタイムにテキスト化し、内容の分析や可視化を可能にします。
文字起こしにとどまらず、感情分析や応対品質の評価、FAQの自動提示など多彩な機能を備えており、コールセンターや営業現場の業務効率化につながります。
また、モバイル通話の録音やコンプライアンスチェック、通話内容の要約といった機能を通じて、記録管理やトラブル防止にも役立ちます。
- 専門用語や商品名を辞書登録できる
- 業務効率化と応対品質向上に関する機能が豊富
- 通話内容の記録・検索やコンプライアンスチェック機能がある
| 特徴 | ・リアルタイム音声認識と分析 ・業界固有の専門用語や社内用語にも柔軟に対応 ・運営改善に直結する多彩な機能を搭載 |
|---|---|
| 料金 | 要お問い合わせ |
| 提供元企業 | NTTコミュニケーションズ株式会社 |
(3)YouWire

YouWireは、固定電話やオフィス電話、スマートフォン通話、対面会議、Web 会議など、様々な音声を録音・一元管理できる録音システムです。録音した音声データはクラウド上または拠点内サーバーで保管され、必要に応じて検索・再生できます。
またオプション機能を活用することで、録音音声をテキスト化(文字起こし)し、商談・会議内容の検索や議事録作成、応対品質の確認、問い合わせ内容の傾向分析などにも活用できます。
- 通話・会話録音の文字起こしの自動化
- 録音+テキスト化により、応対内容が明確に
- 問い合わせ内容や商談内容をテキストから抽出・分析
| 特徴 | ・自動テキスト化機能(音声認識) ・クラウド上で一元管理 ・複数の音声認識エンジンを選択可能 |
|---|---|
| 料金 | 要お問い合わせ |
| 提供元企業 | 株式会社ギークフィード |
(4)MiiTel Phone

MiiTel Phoneは、電話営業・インサイドセールス・コールセンターなど、顧客との通話を中心とする業務に特化しており、通話内容の録音・文字起こし・AIによる分析機能を一つのツールで提供することで、応対品質の可視化と業績アップを支援します。
架電後の議事録作成や要約、CRM/SFA(顧客管理システム)との連携など、手間のかかる事務作業を自動化できる機能があり、営業担当者が電話営業や顧客対応などのコア業務に集中しやすくなるよう設計されています。
- 全通話が自動録音され、発言内容を文字起こし
- 勝ちパターン(成果を上げるトークの型)を明らかにして共有できる
- 営業担当者自身が通話を振り返って学習できる
| 特徴 | ・架電後の議事録作成や要約 ・CRM/SFA(顧客管理システム)との連携 ・AIが分析結果を元に改善点を提示 |
|---|---|
| 料金 | 1ユーザーあたり5,980円(年間プラン) |
| 提供元企業 | 株式会社RevComm |
(5)MooA

MooAは、応対中・応対後の双方でオペレーターの負担を軽減し、VOC(Voice of Customer:顧客の声)の活用を促進する豊富な機能が特徴です。
通話内容のリアルタイム文字起こしだけでなく、発言内容の要約・意図抽出や、応対履歴・FAQ・企業ドキュメントなどをもとにしたナレッジベースを構築できます。
- オペレーターの通話中・通話後における工数を削減
- 応答内容を要約・抽出で顧客の要望や不満、トレンドを分析できる
- サービス改善・FAQの整備や応対教育に活かせる
| 特徴 | ・応対中から応対後までをサポート ・高精度なナレッジ検索および回答案のサジェストを行う機能 ・テキスト応対分野での自動要約・意図抽出が可能 |
|---|---|
| 料金 | 要お問い合わせ |
| 提供元企業 | モビルス株式会社 |
(6)PKSHA Speech Insight

PKSHA Speech Insightは、通話内容の書き起こしから要約、応対品質の可視化、FAQ検索支援など、多くの機能を備えています。オペレーターの後処理(ACW:アフターコールワーク)を削減し、顧客サポート品質を高めることを目的としています。
応対後の要約(属性要約を含む)が可能で、ACWの削減につながります。
オペレーターが必要なナレッジ(FAQ等)をワン画面で検索できる機能も備わっており、応対中の調査時間を短縮します。
- 対応後のメモ記入・履歴整理の時間を削減
- NGワード検知で問題を早期に拾える
- お問合せ理由(コールリーズン)の集計やトレンド分析が可能
| 特徴 | ・既存PBX・CRM・CTIなどのシステムと連携が可能 ・IPアドレス制限等アクセス制御の設定が可能 ・過去の通話内容を検索・活用できる |
|---|---|
| 料金 | 要お問い合わせ |
| 提供元企業 | 株式会社PKSHA Communication |
(7)ForeSight Voice Mining

ForeSight Voice Miningは、通話音声のテキスト化を中心に、応対品質の可視化、感情認識、スーパーバイザー支援、VOC(Voice of Customer)の分析など多数の機能を備えています。
さらに、発言者の感情を検知する機能があり、スーパーバイザーがリアルタイムでモニタリングできるため、クレーム抑制や応対の改善につながる支援が可能です。
- 後処理や記録作成の工数削減
- スーパーバイザーがリアルタイムでモニタリングできる
- 通話後のオペレーターの応対をスコア化
| 特徴 | ・通話内容のテキスト化および要約機能 ・感情認識とリアルタイム応対モニタリング ・FAQレコメンドや重要事項の自動チェック |
|---|---|
| 料金 | 要お問い合わせ |
| 提供元企業 | NTTテクノクロス株式会社 |
(8)transpeech

transpeechは、通話内容をテキスト化する基本機能に加え、VOC抽出、FAQ生成、エージェントへのアラート通知など、コールセンターの現場支援に重点を置いた機能が搭載されています。
よくある問い合わせ内容から自動でFAQを作成・整備する機能や、オペレーターに対する顧客からのハラスメント行為など、応対中に問題があれば即座に通知する機能などが搭載されていることが特徴です。
- 必須情報のチェック機能やアラート機能を搭載
- 応対後の事務処理や応答準備の手間を削減
- リアルタイムで必要な情報を提示する
| 特徴 | ・通話内容の文字起こし(Speech-to-Text) ・会話の要約機能 ・リアルタイムアラート機能 |
|---|---|
| 料金 | 要お問い合わせ |
| 提供元企業 | トランスコスモス株式会社 |
(9)TRAINA VOICEダイジェスト

TRAINA VOICEダイジェストは、コールセンターなどで発生する通話内容を自動で要約し、顧客が応対時に伝えた氏名・電話番号・住所・商品名などの“属性情報”を抽出して応対管理システムに自動登録できるソリューションです。
応対履歴の記録漏れや担当者によるばらつきを解消し、VOC(Voice of Customer:顧客の声)分析やFAQの整備などを正確・効率的に行えるよう設計されています。
- 応対時のメモ取りや通話終了後の履歴入力が不要に
- スーパーバイザーや管理者が全ての通話履歴・要約を確認できる
- 規定に違反する応答の迅速な発見・対応が可能に
| 特徴 | ・要約文の自動作成 ・応対履歴や管理システムに属性データを登録可能 ・FAQやナレッジベースの整備を支援 |
|---|---|
| 料金 | 要お問い合わせ |
| 提供元企業 | 株式会社野村総合研究所 |
(10)カイクラ

カイクラは、通話録音や自動文字起こし、AI要約、顧客情報の表示・管理、履歴共有などの機能を備えており、電話業務を効率化しつつ、顧客対応の品質とスピードを高めることを狙ったツールです。
通話の感情の起伏をAIが読み取ってラベル付けできるため、管理者による定量的な分析にも活用できます。
着信時に、どの顧客かを画面上で即表示でき、過去のやり取りや対応履歴を参照しながら応対できるため、オペレーター側の効率化も支援します。
- 応対業務の時間削減と効率化
- 通話量の時間帯別分析、発着信先の傾向、チャネルごとの利用状況などの統計データを管理
- 着信時の顧客情報ポップアップ表示
| 特徴 | ・通話録音や自動文字起こし ・感情起伏の分析 ・過去のやり取りや対応履歴の確認 |
|---|---|
| 料金 | 月額 51,000 円~ |
| 提供元企業 | 株式会社シンカ |
(11)AmiVoice Communication Suite

AmiVoice Communication Suiteは、全通話のテキスト化をはじめ、リアルタイム表示・要約生成・感情解析・応対品質の自動評価などの機能を搭載します。
通話中の音声認識結果をポップアップで表示し、さらにキーワードに応じたFAQや参照資料を自動表示できるため、応答ミスや情報の抜け漏れを予防できます。
- 通話後の作業をAIが自動で支援
- 顧客フィードバックを組織的に把握できる
- 話すスピード・発話タイミングなど複数指標で通話をスコアリング
| 特徴 | ・通話をリアルタイムで文字起こし ・応対記録を自動生成 ・製品名や業界用語などの単語登録が可能 |
|---|---|
| 料金 | 要お問い合わせ |
| 提供元企業 | 株式会社アドバンスト・メディア |
(12)Vcontact

Vcontactは、通話音声をリアルタイムでテキスト化し、通話中および通話後の入力・帳票作成・応答支援などを自動化・省力化することで、オペレーターの作業負担軽減、応対品質の向上を目指すことができます。
専門用語や業界固有語、製品名称などを登録でき、それらを優先して認識させる辞書機能があります。
さらに認識結果をユーザーが訂正すると、そのデータが音声・言語モデルのチューニングに使われ、認識精度が継続的に改善されます。
- 帳票入力・要約などの手動作業の削減
- 応答内容の統一性やミス・情報漏れの防止機能
- 通話録音・テキスト化された履歴や品質データを教育に活用できる
| 特徴 | ・会話をリアルタイムで文字起こし ・専門用語や業界固有語、製品名称などを辞書登録 ・通話内容に基づいて帳票やアンケート結果を自動入力 |
|---|---|
| 料金 | 要お問い合わせ |
| 提供元企業 | Hmcomm |
(13)RECAIUS

RECAIUSは、音声認識・自然言語処理・音声合成といった技術を組み合わせて、コンタクトセンター、現場業務、ナレッジ管理などさまざまな「話す・聞く・記録する・活かす」コミュニケーションを支援するソリューションです。
通話や対話、会議などの音声をリアルタイムまたは記録後に文字起こしし、雑音やフィラー(「えーと」「あの」「…」など)の認識も考慮されており、認識精度を高めている技術が搭載されています。
- 要点抽出やフィラー除去などで記録業務や報告書作成などの工数が削減
- よくある問い合わせ対応を迅速に行える
- 現場での情報共有およびコミュニケーション改善に役立てられる
| 特徴 | ・機能を用途に応じて組み合わせられる ・オペレーターが話している内容をリアルタイムで解析 ・問い合わせ履歴や会話ログを自動で分析 |
|---|---|
| 料金 | 要お問い合わせ |
| 提供元企業 | 東芝デジタルソリューションズ |
(14)HARMONY

HARMONYは、通話内容の文字認識・要約・記録などの自動化機能と、コールセンター運営の可視化・管理機能を兼ね備えており、オペレーターの負荷軽減と応対品質向上を両立することを目的としています。
オペレーター毎の稼働状況、問い合わせ種別、通話履歴の集計・分析(KPI分析)を行える機能があり、表示権限の設定や操作画面のカスタマイズ性も備えています。
- 通話の文字起こし・議事録生成・要約などが自動で行われる
- 校正機能や議事録の自動生成で標準的な応対品質を保ちやすく
- オペレーターの稼働状況や通話種別ごとの問い合わせ数などを可視化
| 特徴 | ・文字起こしの誤認識・校正機能 ・議事録・要約の基準設定が可能 ・アフターコールワークの工数削減 |
|---|---|
| 料金 | 1ユーザーあたり月額 5,000 円 |
| 提供元企業 | 株式会社ロジカル・アーツ |
(15)Enour CallAssistant

Enour CallAssistantは、コールセンター業務の効率化と応対品質の向上を目的としており、SVやオペレーターがライブで通話の内容を把握したり、応対後の後処理を軽減できるような複数の支援機能を備えています。
管理者が複数のオペレーター通話をリアルタイムで監視可能です。通話中の状況を把握し、フォローが必要な時に即対応できることが特徴です。
- 複数通話のリアルタイムモニタリングが可能
- 自動要約や履歴の自動生成で後処理の工数を削減
- 席数単位での月額課金制度でスモールスタートが可能
| 特徴 | ・リアルタイム音声認識・テキスト化 ・モニタリング機能 ・自動応対品質評価 |
|---|---|
| 料金 | 要お問い合わせ |
| 提供元企業 | 株式会社オプテージ |
(16)Watson Speech to Text

Watson Speech to Textは、コールセンターの音声分析、リアルタイム応答支援、議事録作成、メディアの字幕付けなど、さまざまな用途に使えます。複数言語に対応していることも特徴です。
データの暗号化・管理・リージョン選択など、企業が求めるデータ保護要件を満たしやすく、またクラウドかオンプレミスの選択も可能です。
- カスタマイズ機能が充実している
- 通話中と通話後の支援機能が豊富
- 言語・方言・音声品質の違いにも対応可能なモデルがある
| 特徴 | ・多言語認識 ・専門用語や業界用語の語彙追加 ・セキュリティ・デプロイの柔軟性 |
|---|---|
| 料金 | 要お問い合わせ |
| 提供元企業 | IBM |
2.コールセンターの音声認識システムの比較ポイント

コールセンターの音声認識システムの比較ポイントは音声認識の精度やセキュリティなどがあり、具体的には以下のような内容が挙げられます。
| 音声認識の精度は高いか | 自社の環境で使用しても問題ないか |
|---|---|
| データ分析サービスの提供はあるか | データ分析をサポートするサービスがあるかどうか |
| 情報管理のセキュリティは万全か | どのようなセキュリティ対策が搭載されているか |
| 導入・利用に際する費用は予算内か | 長期的な費用対効果に見合うかどうか |
| チューニングコストに問題はないか | メンテナンスにかかる負担やコスト |
(1)音声認識の精度は高いか
AIによる音声認識の精度が低いと、オペレーターが手動で修正する手間が増え、業務負担の軽減につながらない可能性があります。そのため、システム導入前には自社の業務環境に適した音声認識技術を選定することが重要です。音声認識の精度を左右する主な要因と導入時の確認ポイントとして、以下が挙げられます。
| 音声認識の精度を左右する主な要因 | 導入時の確認ポイント |
|---|---|
| 雑音環境 | 雑音下でも正確に認識できる ノイズリダクション機能の有無を確認 |
| 話者のアクセント・方言 | 方言や訛りへの対応機能を搭載しているか確認 |
| 専門用語・固有名詞 | カスタム辞書・学習機能があり、 業務用語を登録できるか検証 |
| リアルタイム処理性能 | リアルタイム文字起こしの速度と処理能力をチェック |
オフィス内の雑音環境でも正しく認識できるかどうかや、オペレーターの話すスピードや声のトーンに対応できるかどうかなどを事前に確認することで、自社にあった音声認識システムを選ぶポイントとなります。
(2)データ分析サービスの提供はあるか
音声認識システムを選定する際には、以下の点を事前に確認すると、データを有効活用しやすくなります。
| テキストマイニング機能の有無 | ・AIが自動でキーワードを抽出し、トレンドを分析できるか ・特定の問い合わせカテゴリ(例:苦情・解約希望など)を識別できるか |
|---|---|
| 感情分析・品質評価機能の精度 | ・顧客の感情をリアルタイムで分析し、オペレーターの対応改善に活用できるか ・応対品質の評価データを自動で生成し、フィードバックに活かせるか |
| レポート作成・ダッシュボードの提供 | ・業務改善に活かせるレポートが自動生成されるか ・分析の専門家によるレポート作成代行サービスがあるか |
| 人員配置の最適化に活用できるか | ・クレームや問い合わせの発生傾向を分析し、ピーク時間帯の予測ができるか ・適切な人員配置に役立つデータを提供できるか |
導入前にどのような分析サービスが提供されるのかを確認することで、自社の業務に最適なシステムを選定しやすくなります。
(3)情報管理のセキュリティは万全か
AI音声認識システムは高精度な文字起こしを行うことから、データが第三者に流出した場合の影響は非常に大きいため、以下のようなセキュリティ対策が搭載されているかどうかを慎重に確認する必要があります。
| セキュリティ対策 | 期待できる効果 |
|---|---|
| データの暗号化 | 第三者による盗聴・漏洩リスクを低減 |
| 改ざん・編集の防止策 | 記録の信頼性を確保し、 コンプライアンス遵守を強化 |
| アクセス権限の管理 | 不要なデータアクセスを防ぎ、 内部からの情報漏洩を抑止 |
| サーバー管理の安全性 | 物理的なセキュリティリスクを最小化 |
特に、データ暗号化・アクセス管理・セキュリティ認証の取得状況を事前にチェックすることで、情報漏洩リスクを最小限に抑えることができます。
また、認証取得やデータ管理方針などの提供会社のセキュリティ対策の透明性を確認し、自社の情報セキュリティポリシーと適合しているかを見極めることで、安心してシステムを導入しやすくなります。
(4)導入・利用に際する費用は予算内か
音声認識システムを導入する際は、初期費用だけでなく、運用費用を含めた総コストを把握し、長期的な費用対効果を検討することが重要です。安価なシステムを選ぶのではなく、自社の業務に適した機能を備え、コストに見合った効果を発揮するかを事前に評価する必要があります。
システム導入にかかる主な費用項目は、以下のとおりです。
- 初期導入費用
- 月額利用料
- カスタマイズ費用
- 保守・サポート費用
- オペレーターのトレーニング費用
特に、月額料金の仕組み(固定 or 従量課金)、追加費用の発生有無、サポート体制を確認することで、後から想定外のコストが発生するリスクを避けられます。
(5)チューニングコストに問題はないか
AI音声認識システムの導入後も、精度を維持・向上させるためには「チューニング(調整)」が必要です。
チューニングとは、AI音声認識システムの精度を維持・向上させるために、データを見直し、システムの学習を継続的に改善する作業のことです。
そのため、定期的なメンテナンスにかかる時間やコスト、提供企業のサポート体制を事前に確認し、長期的に安定した運用が可能かどうかを見極めることが重要です。チューニングコストに関して、システム選定時に確認すべきポイントは、以下のとおりです。
- チューニングは自社で対応できるのか
- チューニングの頻度と負担
- 追加費用の発生有無
- 提供企業のサポート体制
また、チューニングを自社で簡単に行えるか、それとも専門スタッフの支援が必要かを明確にし、追加費用が発生する可能性を見極めることが、長期的なコスト管理のポイントになります。
3.コールセンターのAI音声認識システムとは?

以下の動画では、生成AIによっていかにコンタクトセンターや顧客体験にどのように影響を及ぼすのかをわかりやすくご確認いただけます。
ここでは、コールセンターのAI音声認識システムの概要と、導入が求められる背景について解説します。
(1)コールセンターのAI音声認識システムの概要
AI音声認識システムは、音声をリアルタイムでテキスト化し、通話データの分析や自動対応を可能にする技術です。
主な機能とそれで期待できる効果は以下の通りです。
| 機能 | 期待できる効果 |
|---|---|
| 自動文字起こし機能 | 手作業によるメモや記録の負担を軽減 |
| 音声認識による自動応答 | 簡単な問い合わせを自動対応 |
| 感情分析(センチメント分析) | クレーム対応などに活用 |
| リアルタイム翻訳 | グローバルな顧客対応もスムーズに |
| キーワード検出・アラート機能 | 顧客対応の質の維持やトラブル防止に活用 |
| 要約・レポート作成の自動化 | 業務の効率化と記録の正確性向上 |
| 音声合成 | 案内やFAQ対応を自動化 |
AI音声認識システムの導入により、業務の自動化が進み、顧客満足度の向上や企業の競争力強化にもつながると考えられます。
(2)AI音声認識システムが求められる背景
AI音声認識システムが求められる背景として、人手不足や業務負担の増加が深刻な課題となっていることが挙げられます。
コールセンタービーウィズ株式会社のコールセンターに関する実態調査によれば、「人員不足による過酷なシフト」や「理不尽なクレーム対応」などの労働環境を起因とする内容が多く、多くの現場で課題となっています。

AI音声認識システムは、こうした課題の解決に有効な手段として注目されており、今後のコールセンター運営において中核的な役割を担うことが期待されています。
4.コールセンターでAI音声認識システムを導入するメリット

コールセンターでAI音声認識システムを導入するメリットは、業務効率化やオペレーターの負担軽減などです。
ここでは、上記のようなAI音声認識システムの導入によるメリットを詳しく解説します。
(1)通話中における業務効率化

AI音声認識システムは、コールセンターのオペレーターが通話中に行う業務を自動化し、より付加価値の高い業務を遂行することで顧客満足度の向上に貢献します。以下ではそのような通話中における業務効率化について具体的に解説します。
①リアルタイム文字起こしによる負担軽減
AIによる通話内容のリアルタイム文字起こしを活用することで、オペレーターは電話中のメモ取りから解放され、お客様との会話に集中できるようになります。
さらに、リアルタイムで音声が文章化されることで、聞き洩らしの防止に役立ち、より正確な対応が可能になります。
②対応品質の向上
リアルタイムの文字起こし機能を活用することで、通話中に情報やマニュアルを検索しやすくなり、お客様が求める情報の迅速な提供が可能となります。
その他にも通話内容が自動で記録・共有されるため、クレーム対応の履歴管理が容易になり、迅速な問題解決やコンプライアンス強化につながり、トラブルの未然防止や顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
(2)通話後業務の負担軽減
お問い合わせ内容の記録や整理などの通話後業務はオペレーターが手作業で行っていましたが、AI音声認識システムを活用することで、これらの業務を以下のように自動化・効率化できます。
| 通話後に手作業で記録を整理・入力 | 音声データを自動的にテキスト化し、記録作業を効率化 |
|---|---|
| 報告書作成 | 要約機能を活用し、短時間で報告書を作成可能 |
これにより、オペレーターは迅速に次の対応に移ることができるだけでなく、対応内容の振り返りや改善点の分析に時間を割くことが可能になります。結果として、コールセンター全体の生産性も向上します。
(3)データ蓄積と分析

AI音声認識システムを活用することで、お問い合わせ内容、対応時間、満足度などの情報を効率的に記録し、お客様の声(VOC:Voice of Customer)を活かしたサービス品質の向上につなげることができます。
①オペレーター対応品質の向上
AI音声認識を活用して蓄積された通話データを分析することで、オペレーターの教育や研修に役立てることができます。
| 用途 | 活用例 |
|---|---|
| 新人オペレーターの研修強化 | 実際の通話データを活用し、 効果的なトレーニングを実施 |
| FAQ・クレーム対応マニュアルの作成 | 過去の問い合わせ傾向を分析し、 標準化された対応フローを確立 |
| トークスクリプトの作成 | 優秀なオペレーターの対応例を抽出し、 効果的な会話のテンプレートを作成 |
これにより、オペレーターのスキル均一化に役立てることが可能となります。
②顧客インサイトの発見
AI音声認識システムを活用し、お客様の声を分析することで、製品やサービスに対する隠れたニーズや改善点を発見できます。
特に、クレームは顧客が自発的に提供する貴重なフィードバックであり、自社の課題点や改善策のヒントとなります。AIによる顧客インサイト分析の活用例は、以下のとおりです。
| 分析対象 | 活用方法 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| クレーム内容 | 製品・サービスの問題点を抽出し、改善策を策定 | 品質向上・顧客満足度向上 |
| お問い合わせ傾向 | よくある質問を整理し、 FAQやカスタマーサポートを最適化 | 対応時間の短縮・業務効率化 |
| 顧客の発話トーン(感情分析) | ネガティブな反応を早期検知し、 適切な対応を実施 | 顧客ロイヤルティ向上・クレーム抑制 |
AI音声認識システムを活用することで、大量の顧客データを効率的に分析し、製品・サービスの改善や新たなビジネスチャンスの発見につなげることが可能です。
5.まとめ
AI音声認識システムの導入は、コールセンター業務の効率化や顧客対応の品質向上に大きく貢献します。
しかし、単にシステムを導入するだけでは十分ではなく、コスト、精度、セキュリティ、運用負担などの要素を総合的に検討することが重要です。



