コールセンターのAI分析は、通話データから応対品質やVOC、感情の傾向を抽出する用途で導入が進んでいます。ただし、分析結果の精度は元データである文字起こしの精度に規定され、分析の種類によって信頼できる範囲も異なります。
株式会社ストラーツの電話応対AIサービス「AnnVoice Agent」は、分析結果を有人転送や応対の改善にどう接続するかまで含めて設計します。社数限定で開発協力によるフルカスタマイズ無料キャンペーンを実施しており、課題把握、シナリオの最適化、業務・運用フローの提案、導入前検証までを無料で行っています。

体験手順とご注意
このデモ体験では、商品名による会話の分岐、名前・電話番号の聞き取り、途中で別の話題を振った場合の応答をご確認いただけます。
お電話いただくと「ご希望の商品」をお尋ねします。以下いずれかの商品名をお答えください。
「リフレアシロップ」/「アクティオールカプセル」/「レスタミンクリーム」
- 周囲の雑音が多い環境では認識精度が下がる場合があります
- 有人オペレーターへの転送はデモに含まれません
- 会話が途中で停止する場合があります
1.コールセンターのAI分析とは?
コールセンターのAI分析とは、通話音声や文字起こしデータ、着信履歴などをAIで解析し、応対品質の評価やVOCの把握、クレーム兆候の検知、人員配置の見直しなどに活用する仕組みです。
AI分析は、主に「応対品質評価」「VOC分析」「感情分析」「稼働・呼量分析」に分けられます。分析する対象によって、必要なデータや確認すべき精度が異なります。
| 領域 | 分析の対象 | 主な用途 | 必要なデータ |
|---|---|---|---|
| 応対品質評価 | オペレーターの発話内容や応対の進行 | 応対評価の自動化、指導基準の統一 | 通話の文字起こし、評価基準 |
| VOC分析 | 顧客の発話内容 | 問い合わせ傾向や商品・サービスの改善点の把握 | 文字起こし、分類ルール |
| 感情分析 | 声の特徴や発話内容 | クレーム兆候の検知、顧客やオペレーターの状態把握 | 音声データ、または文字起こし |
| 稼働・呼量分析 | 着信件数や通話時間などの履歴 | 人員配置の見直し、放棄呼などの状況把握 | 着信履歴、通話時間、応答状況 |
(1)通話データをAIで分析する仕組み
通話内容を分析する場合は、一般に「音声の取得」「文字起こし・解析」「分類・集計」「可視化」といった工程で処理します。

例えばVOC分析では、録音した通話を文字起こしし、顧客の発話内容を問い合わせ理由や商品名などの項目に分類して、件数や傾向を集計します。応対品質評価では、文字起こしした内容と設定した評価基準を照合し、対象となる応対を抽出・評価します。
一方、すべてのAI分析で文字起こしが必要になるわけではありません。
着信件数、通話時間、応答状況などを扱う稼働・呼量分析は、通話内容をテキスト化せず、CTIやPBXなどに蓄積された履歴データをもとに分析できます。
(2)AI分析に利用するデータの種類
コールセンターのAI分析で利用するデータは、主に「音声データ」「テキストデータ」「メタデータ」の3つに分けられます。
| データの種類 | 内容 | 取得に必要なもの |
|---|---|---|
| 音声データ | 顧客とオペレーターの通話録音 | 通話録音の基盤 |
| テキストデータ | 文字起こし、チャットログ、メール、応対履歴メール、応対履歴 | 音声認識、または各チャネルの記録 |
| メタデータ | 着信時刻、通話時間、応答状況、転送履歴 | CTIやPBXのログ |
どのデータが必要になるかは、分析する目的によって異なります。
応対品質やVOCを分析する場合は、通話音声や文字起こしデータが必要です。一方、着信件数や通話時間、人員配置などを分析する場合は、CTIやPBXに蓄積されたメタデータを利用します。
導入前には自社で取得・蓄積しているデータを確認し、目的とする分析に必要なデータが揃っているか、不足している場合には現実的な期間で取得できるかどうかを判断します。
(3)AI分析と生成AI・対話型AIの違い
コールセンターで活用されるAIには、AI分析、生成AI、対話型AI・ボイスボットなどがあり、それぞれ役割が異なります。導入を検討するときは、分析したいのか、文章生成を自動化したいのか、顧客対応そのものを自動化したいのかを分けて考える必要があります。
| 種類 | 主な役割 | コールセンターでの用途 |
|---|---|---|
| AI分析 | 蓄積されたデータから傾向や特徴を抽出する | 応対品質の評価、VOC分析、稼働状況の把握 |
| 生成AI | 入力された情報をもとに文章を生成する | 通話内容の要約、応対履歴の作成、回答案の生成 |
| 対話型AI、ボイスボット | 顧客との対話を自動化する | 一次受付、用件の聞き取り、問い合わせの振り分け |
これらは単独で利用するだけでなく、組み合わせて活用することもできます。例えば、対話型AIが顧客から用件を聞き取り、生成AIが対応内容を要約し、蓄積されたデータをAI分析によって分類・集計するといった構成です。
そのため、AI分析を導入する場合は、分析対象となる通話データや応対履歴をどのように取得・蓄積するかまで含めて検討することが重要です。
2.コールセンターのAI分析でできること・活用事例

AI分析に共通する利点は、対象となる通話をあらかじめ設定した基準で継続的に処理できる点です。サンプリングによる評価では抽出した通話によって結果が変わりますが、全通話を対象にすることで、担当者や期間ごとの結果を同じ基準で比較できます。
ただし、分析の目的によって必要なデータやAIが出力する内容、分析結果を利用する担当者は異なります。ここでは代表的な6つの活用方法について、必要なデータ、主な出力、活用先、人が確認する範囲とあわせて整理します。
(1)通話内容を文字起こし・要約する
通話音声をテキスト化し、問い合わせ内容や対応結果などの要点を抽出して、応対履歴として整理できます。オペレーターが通話後に内容を手作業で入力する工程を減らし、後処理を効率化する用途です。
実際の運用では、AIが生成した文字起こしや要約をCRMや応対履歴へ反映し、オペレーターが内容を確認して確定する流れを設計します。氏名や住所、契約内容、受付結果など、正確性が求められる情報は人が確認・修正する範囲として切り分けます。
後処理時間(ACW)は通話1件ごとに発生するため、短縮の効果は件数に比例します。オペレーターが次の対応へ移るまでの時間が短くなり、応答率の改善にもつながります。
| 必要なデータ | 通話音声 |
|---|---|
| 主な出力 | 文字起こし・要約・応対履歴案 |
| 主な活用先 | CRM・応対履歴 |
| 人が確認・判断する範囲 | 氏名・住所・契約内容・受付結果など |
活用事例:株式会社JR西日本カスタマーリレーションズ

JR西日本お客様センターを運営する同社のコンタクトセンターには、電話とメールで月間数万件規模の問い合わせが寄せられます。
従来は担当者が抽出した一部の内容をもとに集計していたため、結果に恣意性が入りやすく、全件を対象とすることも困難でした。生成AIを用いた分析の仕組みを導入し、寄せられた声の全件に対して一律のルールで集計した結果をダッシュボードで可視化する運用に切り替えています。集計データの品質が均質化され、週報作成などの定例業務にも組み込まれました。
参考:https://www.westjr.co.jp/press/article/2024/12/page_26776.html

(2)応対品質を分析・評価する
通話データをもとに、あいさつや本人確認、クロージングなどの実施状況に加え、話す速度、沈黙時間、顧客とオペレーターの発話比率などを分析できます。
運用時は、既存の応対品質評価シートからAIで判定する項目を決め、評価基準として設定します。発話内容や数値から判定できる項目はAIで処理し、会話の文脈や個別事情を踏まえる必要がある項目はSVなどが確認する形に分けます。
分析結果をオペレーター別・期間別に蓄積すれば、どの評価項目で差が生じているかを確認し、研修やフィードバックの対象を検討する材料として利用できます。
| 必要なデータ | 通話音声・文字起こし・評価基準 |
|---|---|
| 主な出力 | 項目別の評価結果・判定結果 |
| 主な活用先 | SVによる品質確認・研修・フィードバック |
| 人が確認・判断する範囲 | 文脈や個別事情を踏まえた評価・最終判断 |
:イオンフィナンシャルサービス株式会社

イオンフィナンシャルサービス株式会社のコールセンターでは、新人オペレーターの育成や既存スタッフのスキルアップに実践に近い反復訓練が有効である一方、人的リソースの確保や研修時間の制約が課題となっていました。
生成AIを活用したロールプレイングシステムを導入し、難易度別のシナリオでオペレーターが随時トレーニングできる環境を整備しています。
自社研修講師の業務時間を最大で年間5,000時間捻出できる見込みとされ、捻出した時間を実務での指導や育成活動に充てる方針が示されています。
参考:https://www.aeonfinancial.co.jp/-/media/AeonGroup/Aeonfinancial/Files/news/2025/news250725.pdf

(3)問い合わせ内容を分類し、VOCを分析する
顧客の発話内容を問い合わせ理由や商品・サービス、要望、不満などのカテゴリに分類し、件数や推移を集計します。個別の通話を確認するだけでは把握しにくい問い合わせの増減や、顧客から寄せられている意見の傾向をデータとして確認できます。
実際の運用では、まず自社の商品構成や業務内容に合わせて分類カテゴリを設計し、AIが文字起こしした通話を各カテゴリへ振り分けます。分類結果は、問い合わせ件数の集計やVOC分析に利用し、FAQや案内内容、商品・サービスの見直しにつなげます。
また、分類結果に「その他」が集中している場合や、新しい問い合わせ内容が増えた場合は、カテゴリや分類ルールの見直しが必要です。分析結果を改善へつなげるため、集計したVOCを誰が確認し、どの部門へ共有するかもあらかじめ決めておきます。
| 必要なデータ | 文字起こし・問い合わせ内容・分類ルール |
|---|---|
| 主な出力 | 問い合わせ分類・件数・推移・VOCの傾向 |
| 主な活用先 | FAQ・案内内容・商品・サービスの見直し |
| 人が確認・判断する範囲 | 分類結果の妥当性・分類ルールの見直し・改善施策への反映 |
:国土技術政策総合研究所

行政に寄せられる相談内容をテキストマイニングで処理した事例では、分類ルールを定めたうえで件数の傾向として整理することで、施策の検討材料として扱っています。
分類の単位をどう設計するかによって集計結果が変わる点も扱われており、民間のコールセンターでVOCの分類ルールを設計する際にも共通しています。
参考:https://www.nilim.go.jp/lab/qbg/achievements/papers/pdf/H25_1030.pdf
(4)クレームや顧客感情を分析する
通話音声や発話内容から、顧客の感情の傾向やクレームにつながる兆候を分析します。声の大きさや抑揚などの音響的な特徴を利用する方法と、文字起こしした発話内容をもとに判定する方法があります。
活用方法は、通話中に変化を検知する「リアルタイム分析」と、通話終了後にデータを集計する「事後分析」に分けられます。
リアルタイム分析では、設定した条件に該当した通話をSVへ通知し、介入やエスカレーションが必要かを判断します。事後分析では、クレームが発生した通話の問い合わせ内容や応対内容などを集計し、対応手順の見直しに利用します。
| 必要なデータ | 通話音声・文字起こし |
|---|---|
| 主な出力 | 感情判定・クレーム兆候・アラート |
| 主な活用先 | SVへの通知・エスカレーション・事後分析 |
| 人が確認・判断する範囲 | 介入の要否・クレーム対応の最終判断 |
:損害保険ジャパン株式会社

損害保険ジャパン株式会社の事故サポートセンターでは、大規模災害の発生時に問い合わせが集中し、顧客を待たせることが不満につながりやすいという課題がありました。
首都直下地震の発生時には平時の100倍以上の連絡が予測され、通常のサーバー構成では処理しきれない状況が想定されています。
想定される状況をもとに、混雑時には自動的に対話型AIへ接続する設計へ切り替え、対話型AIが保険金請求に必要な情報を聞き取ってシステムへ自動投入する仕組みを構築しました。最大で1時間あたり3,000件の連絡を受け付ける体制としています
参考:https://www.sompo-japan.co.jp/-/media/SJNK/files/news/2022/20230126_1.pdf
(5)呼量や稼働状況を分析する
時間帯や曜日ごとの着信件数、応答状況、通話時間、放棄呼などを集計し、コールセンターの稼働状況を把握します。この分析では通話内容ではなく、CTIやPBXなどに蓄積された履歴データを使用するため、文字起こしを必要としません。時間帯別・曜日別の呼量と現在の人員配置を照らし合わせ、運用体制を検討するためのデータとして利用します。
例えば、特定の時間帯に着信や放棄呼が集中している場合、その時間帯の配置人数を見直すか、自動応答による一次受付を組み合わせるかといった判断材料にできます。
| 必要なデータ | CTI・PBXの着信履歴、通話時間、応答状況 |
|---|---|
| 主な出力 | 時間帯・曜日別の呼量、応答状況、放棄呼など |
| 主な活用先 | 人員配置・運用体制の見直し |
| 人が確認・判断する範囲 | 配置人数や自動応答導入などの運用判断 |
活用事例:株式会社JR西日本カスタマーリレーションズ

株式会社JR西日本カスタマーリレーションズでは案内範囲が広く、問い合わせ内容によって記録すべき要点も異なるため、応対履歴の作成に高度な要約スキルが求められていました。
通話音声の文字起こしデータをもとに応対履歴を要約・テキスト化する仕組みを導入し、あわせてルールブックの整備、定期的な研修、AIが処理しやすい発話や通話時の復唱の指導といった運用面の整備を進めています。
その結果、難度の高い問い合わせにおける月次の平均後処理時間は導入当初の12分47秒から6分23秒へと約50%削減され、100名規模の実業務で定着しました。
参考:https://www.westjr.co.jp/press/article/2026/03/31/page_30524.html
(6)オペレーターごとの応対傾向を把握する
平均通話時間や後処理時間、一次解決率、応対品質の評価結果などをオペレーター単位で集計し、それぞれの応対傾向を把握できます。
複数の指標を継続して確認することで、どの項目で差が生じているかを把握し、SVが確認する通話や研修・フィードバックの対象を絞り込む材料として利用できます。
一方、AIによる分析結果をどの指標を品質改善や教育に利用するのかを整理しておく必要があります。個人単位の評価結果や感情分析データを扱う場合は、利用目的や閲覧範囲、人事評価への利用方法も事前に定めます。
| 必要なデータ | 通話データ・応対品質評価・各種KPI |
|---|---|
| 主な出力 | オペレーター別の評価結果・応対傾向 |
| 主な活用先 | 研修・フィードバック・品質管理 |
| 人が確認・判断する範囲 | 指導内容・評価結果の利用範囲・人事評価への反映 |
活用事例:ライフネット生命保険株式会社

ライフネット生命保険株式会社のコンタクトセンターでは、従来のIVRによる応対において、自動音声の質問ごとに顧客側の操作が必要となり、オペレーターにつながるまでの待ち時間が長くなること、受付が営業時間内に限られることが課題となっていました。
対話型AIとAIボイスボットを導入し、用件に応じてオペレーターとAIボイスボットのいずれかが対応する仕組みへ切り替えています。あわせて、AIで処理できる定型業務として控除証明書の再発行を受け付けるフローを開発し、24時間の受付を可能にしました。
参考:https://ir.lifenet-seimei.co.jp/ja/news/index/auto_20251107592011/pdfFile.pdf
3.AI導入でオペレーターの仕事がなくなるのかという懸念と現場への影響

コールセンターへのAI導入では、問い合わせ対応や後処理の一部を自動化できるため、オペレーターが担当する業務範囲も変わります。一方で、すべての問い合わせをAIだけで完結できるわけではありません。
導入時には、AIへ任せる業務と有人対応を継続する業務を切り分けたうえで、人員配置やオペレーターの役割を整理します。
(1)AIによる自動化が可能な業務範囲
自動化が進みやすいのは、判断の余地が少なく、手順が定まっている業務です。営業時間や所在地の案内、注文状況の確認、簡単な変更受付、担当部署への振り分けなどが該当します。また、応対履歴の入力や分類の選択といった後処理も自動化の対象になります。
実際の導入状況を見ると、顧客と直接やり取りする部分よりも、オペレーターを支援する部分から自動化が進んでいます。日本コンタクトセンター協会が2025年6月から7月にかけて実施した実態調査では、生成AIを何らかの形で活用している55社の活用方法は以下の通りでした。
| 活用方法 | 割合 |
|---|---|
| 応対内容の要約 | 74.5% |
| メール文章の作成 | 63.6% |
| FAQの自動生成 | 61.8% |
| コミュニケーターの回答支援 | 58.2% |
| レポートの作成 | 56.4% |
| チャットボットによる自動化対応 | 52.7% |
| ボイスボットによる自動化対応 | 49.1% |
上位に並ぶのは要約、メール文章の作成、FAQ生成、回答支援といったオペレーターの作業を支える用途です。顧客対応そのものを代替するチャットボットとボイスボットは、いずれも5割前後にとどまっています。
導入後の手応えにも差が出ています。総務省の令和8年版情報通信白書では、生成AIの導入効果を感じる業務として「議事録・メール作成補助」を挙げた日本企業が72.3%だったのに対し、「カスタマーサポート」は33.8%でした。顧客対応の領域は、他の業務に比べて効果を実感しにくい状況にあります。
出典:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/pdf/index.html
(2)有人対応を継続すべき業務
判断や交渉を伴う業務、感情への配慮が必要な業務は、有人対応が前提になります。クレームの謝罪と解決策の提示、契約内容の個別相談、複数の要因が絡む障害の切り分けなどが該当します。
また、顧客が有人対応を求めた場合に応じられる導線を残しておくことも重要です。自動応答のみで完結する設計にすると、対応できなかった問い合わせが離脱につながります。
令和8年版情報通信白書では、AI活用の先進企業へのヒアリング事例として、中外製薬が人間とAIの役割分担を十分に検討したうえで、AIに行わせるプロセスと人間が責任を担う部分を見極め、人間の判断や確認を適切に介在させる「ヒューマン・イン・ザ・ループ」を重視していることが紹介されています。
参考:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/pdf/00zentai.pdf
(3)AI導入が人員配置に与える影響
自動化によって定型的な問い合わせが減ると、オペレーターが対応する通話の構成が変わります。残るのは判断や交渉を伴う通話となるため、1件あたりの通話時間は伸びる傾向があります。総件数が減っても、必要な人員が同じ比率で減るとは限りません。
この構造は、労働政策研究・研修機構が厚生労働省の研究要請を受けて実施した調査でも確認できます。
職場でAIを利用している労働者1,854人に変化を尋ねたところ、AIが自身の作業を自動処理化したと回答した割合は58.6%、AIが以前にはなかった新しい作業を創出したと回答した割合は42.1%でした。自動化だけが起きているのではなく、4割の労働者が新しい作業の発生を経験しています。
さらに、自動処理化された作業と新しく生まれた作業では、性質が異なります。
| 作業の性質 | 自動処理化された作業 | 新しく創出された作業 |
|---|---|---|
| 繰り返しの多い作業だった | 73.8% | 64.7% |
| 複雑な内容の作業だった | 50.2% | 58.4% |
| 想像力を活かして課題解決を図るものだった | 54.5% | 63.0% |
自動処理化されたのは繰り返しの多い作業が中心である一方、新しく生まれた作業は複雑さと創造性を伴う割合が高くなっています。定型業務が減り、判断を伴う業務が残るという構造が、業種を問わず表れています。

(4)AI導入後に求められるオペレーターの役割
定型業務が自動化されると、オペレーターに求められる役割は、個別の判断と、AIが対応できなかった案件の処理に移ります。加えて、分析結果を確認して分類ルールや辞書の改善点を挙げる役割、自動応答のシナリオの不備を現場から報告する役割も発生します。
役割の変化を現場に受け入れてもらうには、説明の機会が欠かせません。
前掲の労働政策研究・研修機構の調査では、AIを利用している労働者のうち、AI利用の前後で「AIが自身の仕事を奪う不安感」が高まったと回答した割合が32.6%となり、低下したと回答した17.9%を上回りました。一方、職場で新しい技術が使用される際に雇用主が労働者または労働者代表と話合いを行っている割合は15.6%にとどまり、AIが使用された際に限っても32.0%でした。話合いが行われた場合には、新技術の導入への不安が緩和されたと回答した割合が高くなっています。
令和8年版情報通信白書のヒアリング調査では、AI活用を進める企業が人材育成、利用ポリシーやガイドラインの整備、評価の仕組みづくりを併せて推進していることが示されています。同調査では、生成AIによる業務変革について「組織的な取組はない」と回答した日本企業が27.0%で、米国の11.7%、ドイツの22.1%、中国の1.4%より高い水準でした。ツールを導入しても、業務や教育の設計まで踏み込めていない企業が一定数残っている状況です。
出典:https://www.soumu.go.jp/main_content/001082851.pdf
4.コールセンターのAI分析で精度を左右する要因と対策

導入後に分析結果が使われなくなる原因は、いずれも設計と運用で対処する領域です。ここでは、AI分析の精度を左右する要因と、導入・運用時に確認する対策を整理します。
(1)文字起こし精度が十分に確保されていない
応対品質評価やVOC分析など、文字起こししたテキストを利用する分析では、音声認識の精度が分析結果に影響します。分析エンジンが正しく処理していても、元の文字起こしで重要な発話が欠けたり誤認識されたりすると、分類や集計にもその影響が残ります。
特に、氏名、住所、型番、注文番号などの固有名詞や数字列に加え、業界用語や社内略称は、分析前に認識状況を確認しておく必要があります。また、方言、早口、回線の音質、顧客とオペレーターの重ね発話なども文字起こし結果に影響する場合があります。
| 確認項目 | 対策 |
|---|---|
| 自社の通話で認識できるか | ・実際の録音データを使って文字起こしを検証する ・本番と同じ通話環境の音声を確認する |
| 分析に必要な語句を取得できるか | ・商品名、製品名、業界用語、社内略称を個別に確認する ・氏名、住所、型番、注文番号なども対象に含める |
| 特定の語句で誤認識が発生する | ・辞書登録の対象を整理する ・表記ゆれや略称もあわせて確認する |
| 通話条件によって精度が変わる | ・早口、方言、回線品質、重ね発話を含む通話でも検証する |
| 分析結果に欠落がある | ・文字起こし結果と元の音声を照合する ・分析前のデータ取得段階に問題がないか切り分ける |
以下の記事では、コールセンターの音声認識について詳しく解説しています。

(2)感情分析の判定基準が目的と合っていない
感情分析では、同じ「怒り」「不満」といった感情でも、システムによって判定に用いる情報が異なります。
声量や話す速度、抑揚などの音響的な特徴を分析する方式もあれば、文字起こしした発話内容や特定の語句をもとに判定する方式もあります。そのため、同じ通話でも利用するシステムによって判定結果が異なる場合があります。
音響的な特徴を用いる方式では、語気の強さが感情の強さとして扱われます。語気が強く聞こえる話し方では、平常の会話がネガティブと判定されることがあります。反対に、強い不満が丁寧な言い回しで表現される場面では、平常と判定され検知に至りません。
そのため、感情分析を導入するときは、感情スコアだけを比較するのではなく、自社が検知したい通話を正しく抽出できるかを確認します。たとえばクレームの早期検知が目的であれば、SVが要確認と判断した実際の通話と、AIによる判定結果を照合して精度を確認します。
| 確認項目 | 対策 |
|---|---|
| 何をもとに感情を判定しているか | ・音声の特徴と発話内容のどちらを利用するか確認する ・自社の分析目的と判定方法が合っているか確認する |
| 自社の通話で意図した判定ができるか | ・実際の通話データを使って検証する ・SVの判断結果とAIの判定結果を照合する |
| 話し方による判定の偏りがないか | ・話者や通話内容の異なるデータを含めて検証する ・特定の話し方だけで判定結果が変わらないか確認する |
| クレームを適切に検知できるか | ・実際にクレームとなった通話が抽出されるか確認する ・検知できなかった通話も確認する |
| 分析結果をどう評価するか | ・単一の感情スコアだけで判断しない ・通話内容や期間ごとの変化とあわせて確認する |
(3)VOCの分類ルールが適切に設計されていない
分類ルールが自社の商品構成や業務プロセス、分析目的と合っていない場合、AIが正しく分類できても、業務改善に利用できる分析結果にならない可能性があります。
分類が大まかすぎると「その他」など特定のカテゴリに問い合わせが集中し、具体的に何が増えているのかを把握できません。一方、商品名や問い合わせ理由を細かく分けすぎるとカテゴリごとの件数が分散し、全体の傾向を確認しにくくなります。
導入時には、既存の問い合わせ記録や文字起こしを確認し、「分析結果から何を判断したいか」を起点に分類カテゴリを設計します。また、新商品やサービス変更などによって問い合わせ内容が変化した場合は、分類結果を確認しながらカテゴリや判定ルールを更新します。
| 確認項目 | 対策 |
|---|---|
| 分類が分析目的と合っているか | ・FAQ改善、商品改善などVOCを利用する目的を決める ・目的に必要な粒度でカテゴリを設定する |
| 「その他」に問い合わせが集中していないか | ・「その他」に分類された通話内容を確認する ・継続して発生している内容は新しいカテゴリへの分離を検討する |
| カテゴリを細分化しすぎていないか | ・類似したカテゴリをまとめる ・集計後に傾向を比較できる単位になっているか確認する |
| 実際の問い合わせと分類結果が一致しているか | ・既存の問い合わせ記録を使って分類結果を検証する ・誤分類された通話から判定ルールを見直す |
| 問い合わせ内容の変化に対応できているか | ・新商品やサービス変更後の分類結果を確認する ・カテゴリや分類ルールを更新する |
(4)分析対象となるデータに偏りがある
コールセンターのAI分析では、分析対象となるデータの範囲によって、把握できる顧客の声も変わります。
通話内容を分析する場合、対象となるのは基本的に電話がつながり、会話として記録された顧客です。呼び出し中に切断した顧客や、待ち時間中に離脱した顧客、電話以外のチャネルを利用した顧客の情報は、通話データには含まれません。
そのため、通話データだけをVOCとして集計すると、「電話で会話できた顧客」の情報に分析対象が偏ります。また、特定の時間帯で放棄呼が発生している場合、その時間帯に問い合わせようとした顧客の用件は通話内容として取得できないため、VOC分析にも反映されません。
分析対象の偏りを確認するには、通話内容だけでなく、CTI・PBXに記録された放棄呼や応答状況もあわせて確認します。また、Webフォームやアンケート、解約理由など別のチャネルで取得しているデータがある場合は、通話データと分けて集計し、どの顧客接点を分析できているかを整理します。
| 確認項目 | 対策 |
|---|---|
| AI分析の対象となっている通話の範囲 | ・接続した通話だけを分析しているのか確認する ・分析対象外となる顧客接点を整理する |
| 放棄呼によるデータの欠落 | ・CTI・PBXから放棄呼の件数や発生時間帯を確認する ・通話として記録されなかった問い合わせの規模を把握する |
| 特定の時間帯・期間に偏っていないか | ・時間帯、曜日、期間別に分析対象件数を確認する ・繁忙期と通常期を分けて確認する |
| 電話以外のVOCが含まれているか | ・Webフォーム、アンケート、解約理由などの取得状況を確認する ・チャネルごとにデータの範囲を整理する |
| 分析結果をどこまで利用するか | ・通話データだけで顧客全体を評価しない ・分析対象となった母集団を確認したうえで結果を利用する |
(5)AIの分析結果を単独で判断に用いている
AI分析の結果は、応対品質や顧客感情、問い合わせ傾向を確認するための判断材料として利用します。分析結果だけをもとに指導やエスカレーション、人事評価などを決定すると、誤判定や文脈の取り違えがそのまま運用へ反映される可能性があります。
感情分析でネガティブと判定された通話でも、実際の音声を確認すると話者の話し方や声の特徴による判定だったというケースがあります。また、応対品質評価でも、特定の発話だけでは判断できない事情が通話全体の文脈に含まれている場合があります。
そのため、AIによる判定結果と元の通話データを照合し、最終的な判断を人が行う範囲をあらかじめ決めておきます。また、システム側で判定条件や閾値を設定できる場合は、どの条件で要確認通話として抽出するかを運用ルールとして整理します。
| 確認項目 | 対策 |
|---|---|
| AIの判定だけで最終判断していないか | ・指導や対応変更の前に元の通話を確認する ・最終判断を行う担当者を決める |
| 判定結果と実際の通話が一致しているか | ・AIの評価結果と音声・文字起こしを照合する ・誤判定の内容を記録する |
| 人が確認する範囲が決まっているか | ・低評価やクレーム兆候など、確認対象となる条件を定める ・SVなど確認担当者を設定する |
| 判定条件が運用目的と合っているか | ・抽出条件や閾値を確認する ・実際の確認結果をもとに設定を見直す |
| 分析結果を評価や指導へ利用する範囲 | ・AIの結果をそのまま個人評価に反映しない ・利用目的と判断手順を事前に整理する |
5.コールセンターでAI分析に利用するシステムの種類

コールセンターのAI分析では、1つのシステムに複数の機能が搭載されている場合もあるため、「何のデータを扱い、何を出力し、どの業務に利用するか」を確認して選定します。
(1)音声認識・文字起こしシステム
音声認識・文字起こしシステムとは、通話音声をテキストへ変換するシステムです。文字起こししたデータは、VOC分析や応対品質評価、問い合わせ分類、生成AIによる要約などの入力データとして利用されます。他の分析の前提になるため、この精度が後続の分析結果の上限を決めます。
| 選定時の確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 認識精度 | 氏名・住所・型番・注文番号などの固有名詞と数字列を、自社の録音で検証する |
| 辞書機能 | 商品名・業界用語・社内略称を登録できるか、更新を自社で行えるか |
| 音声の取得 | 既存のCTI・録音基盤から音声データを取り出せるか |
| 出力の連携 | 文字起こし結果を自社システムやCRMへ渡せるか |
| 通話環境への対応 | 早口・方言・回線品質・重ね発話を含む通話でも精度を確認する |
(2)VOC・テキストマイニングシステム
VOC・テキストマイニングシステムとは、文字起こしした通話内容からキーワードや問い合わせ内容を抽出し、カテゴリ別の件数や推移を集計するシステムです。
通話だけでなく、対応している場合はチャット、メール、アンケートなどのテキストデータも分析対象にできます。
| 選定時の確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 分類カテゴリの設定 | 自社の問い合わせ内容に合わせてカテゴリを設定・変更できるか、変更を自社で行えるか |
| 対応チャネル | 通話に加え、チャット・メール・アンケートのテキストを分析対象にできるか |
| 集計の切り口 | 期間別、商品別、問い合わせ理由別などで絞り込めるか |
| 未分類の扱い | 「その他」に分類された通話を確認し、再分類できるか |
| 出力形式 | 集計結果をFAQや商品・サービスの改善に利用できる形で出力できるか |
(3)応対品質評価システム
応対品質評価システムとは、設定した評価項目や判定基準をもとに、通話内容を評価するシステムです。あいさつ、本人確認、案内手順などの実施状況や、話速、沈黙時間、発話比率などを分析対象として設定します。
| 選定時の確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 評価項目の再現 | 現在使用している応対品質評価シートの項目をシステム上で設定できるか |
| 判定範囲の切り分け | AIで判定する項目とSVが確認する項目を分けられるか |
| 対象通話の抽出 | 低評価となった通話を一覧から確認できる仕組みがあるか |
| 集計の単位 | オペレーター別、期間別、評価項目別に集計できるか |
| 基準の変更 | 評価基準や判定条件を運用開始後に変更できるか |
(4)感情分析システム
感情分析システムとは、通話音声の特徴や文字起こしした発話内容をもとに、顧客の感情の傾向を分析するシステムです。通話中に判定してSVへ通知するリアルタイム分析と、通話終了後にまとめて分析する方法があります。
| 選定時の確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 判定方法 | 音声の特徴と発話内容のどちらをもとに判定しているか |
| 処理のタイミング | リアルタイムの通知に対応するか、事後のバッチ処理のみか |
| 通知後の確認 | 通知された通話を音声や文字起こしで確認できるか |
| 集計の切り口 | 期間別、問い合わせ内容別に感情の傾向を集計できるか |
| 自社データでの検証 | SVが要確認と判断した通話と判定結果が一致するか |
(5)生成AI・要約システム
生成AI・要約システムとは、文字起こしした通話内容から、要約や応対履歴などの文章を生成するシステムです。問い合わせ内容、対応内容、対応結果などを一定の形式に整理し、通話後の記録作成に利用できます。
| 選定時の確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 出力項目の設定 | 要約・抽出する項目を自社の応対履歴の形式に合わせて設定できるか |
| 連携 | 生成した内容をCRMや応対履歴システムへ渡せるか |
| 確認・修正の工程 | オペレーターが内容を修正してから確定する運用を組み込めるか |
| 元データの参照 | 生成結果と元の文字起こし・音声を照合できるか |
| データの取り扱い | 通話内容が学習に利用されるか、保管場所と保管期間はどうなっているか |
(6)対話型AI・ボイスボット
対話型AIやボイスボットは、顧客との音声によるやり取りを自動化し、一次受付、用件の聞き取り、問い合わせ内容の振り分けなどを行います。AI分析そのものを担うシステムではありませんが、対話内容を記録・蓄積することで、そのデータをVOC分析や問い合わせ分類などに利用できます。
| 選定時の確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 対応範囲の切り分け | AIで完結させる問い合わせと有人対応へ切り替える問い合わせを分けられるか |
| 有人への転送条件 | 認識できない場合や個別判断が必要になった場合の転送条件を設定できるか |
| 認識できなかった場合の受け皿 | 折り返しの予約やSMSの送信など、切断以外の導線を用意できるか |
| 対話データの蓄積 | 対話内容を記録し、VOC分析や問い合わせ分類に利用できる形で出力できるか |
| シナリオの変更 | 運用開始後にシナリオを自社で修正できるか、依頼する場合の費用とリードタイム |
6.コールセンターにAI分析を導入する手順

コールセンターへAI分析を導入する際は、分析する目的、利用できるデータ、検証方法、導入後の運用体制を順番に整理します。ここでは、導入前の検討から運用開始後の見直しまでを7つの手順で整理します。
(1)解決したい課題と分析目的を決める
最初に、AI分析によって解決したい課題を明確にします。例えば、応対品質のばらつき、VOCの取りこぼし、後処理時間の長さ、人員配置の根拠不足などです。
課題を決めたら、「応対品質を評価する」「問い合わせ内容を分類する」「クレームの兆候を検知する」など、AIで分析する対象まで具体化します。複数の目的を同時に設定すると必要なデータや機能が増えるため、導入初期は優先する課題を絞って検討します。
(2)分析対象となる通話データを確認する
次に、目的とする分析に必要なデータを取得できるか確認します。通話内容を分析する場合は、録音対象となっている通話の範囲、保存期間、音声ファイルの形式、外部システムへデータを出力できるかを確認します。
呼量や稼働状況を分析する場合は、CTIやPBXから着信時刻、通話時間、応答状況、放棄呼などのログを取得できるかも確認します。録音データがない場合でも、CTIやPBXのログが利用できれば、呼量や稼働状況の分析から着手できる場合があります。
(3)リアルタイム分析か事後分析かを決める
分析結果を利用するタイミングも事前に決めます。
リアルタイム分析では、通話中に発話内容や感情の変化などを検知し、SVへの通知や対応の切り替えに利用します。一方、事後分析では、蓄積した通話をまとめて処理し、VOCや応対品質、問い合わせ傾向などを確認します。
リアルタイム分析を選択する場合は、分析機能だけでなく、通知を誰が確認し、どの条件で介入するかまで運用として設計します。
(4)必要なAIシステムを選定する
分析目的と必要なデータが決まったら、必要な機能を備えているシステムを選定します。
既存のCTIや録音基盤を利用している場合は、それらのシステムから音声や通話履歴を取得し、分析システムへ連携できるかを確認します。既存環境をそのまま利用するのか、録音・文字起こし・分析まで一体化したシステムへ変更するのかも、この段階で整理します。
製品を比較するときは、自社で必要な分析に対応できるか、既存システムと連携できるか、分類ルールや辞書などを運用開始後に変更できるかを確認します。
(5)自社の通話データでPoC・テストを行う
本格導入前に、自社の通話データを使用して分析結果を検証します。デモ用の音声だけでは、自社特有の商品名や業界用語、通話環境を含めた精度を確認できません。
検証では、、実際の利用目的に合わせて確認項目を設定します。VOC分析であれば商品名や問い合わせカテゴリを正しく取得・分類できているか、応対品質評価であれば既存の評価基準に沿って判定できているかを確認します。
また、誤認識や誤分類が発生した通話も確認し、本番運用前に辞書や分類ルール、判定条件を調整します。
(6)分析結果を利用する担当者と運用方法を決める
誰が分析結果を確認し、どの業務へ反映するかを決めます。
例えば、応対品質評価であればSVが評価結果から確認対象となる通話を抽出し、研修やフィードバックへ反映します。VOC分析であれば、問い合わせ傾向を確認する担当者と、FAQや商品・サービスを担当する部門への共有方法を決めます。
(7)運用開始後に精度や分類ルールを見直す
本番運用後も、分析結果と実際の通話を照合しながら設定を見直します。商品名や業界用語の誤認識があれば辞書を更新し、VOCの「その他」が増えた場合は分類カテゴリを見直します。感情分析や応対品質評価では、実際の通話と判定結果にずれがあれば、判定条件や閾値を確認します。
新商品やキャンペーンの開始などによって問い合わせ内容が変われば、分析に必要な語句や分類も変わります。そのため、辞書、分類ルール、判定条件について、誰が確認・更新するかを導入時に決めておきます。
7.まとめ
コールセンターのAI分析は、文字起こし、応対品質評価、VOC分析、感情分析、稼働分析といった目的の異なる領域の総称です。それぞれ必要なデータも成立の条件も異なるため、機能一覧の比較ではなく、自社が着手する領域を1つ決めるところから検討を始めてください。
分析結果の信頼性は、元データである文字起こしの精度に規定されます。また、通話データで把握できるのは電話に到達した顧客の声だけであり、離脱した顧客の情報は構造的に欠落します。この2点を前提に置いたうえで、分析結果を意思決定の材料の1つとして扱う形が現実的です。
株式会社ストラーツの電話応対AIサービス「AnnVoice Agent」は、有人オペレーターへの転送条件や、SMS・LINE・メールでのフォロー導線に接続する形で設計します。
AI分析を運用に載せられるかどうかは、システムの性能よりも、何を分析対象とし、結果を誰がどう使うかを設計できているかで決まります。自社の通話データで何が分析できて何が分析できないかを整理する段階から、ご相談ください。


