ボイスボットとIVRは、どちらも電話対応を自動化する仕組みですが、ユーザーの声の受け取り方が異なります。
本記事では両者の違いと、自社の窓口に合う方式を選ぶための考え方を解説します。
株式会社ストラーツのボイスボット「AnnVoice Agent」は、高精度な音声認識・感情分析・自動振り分けを、フルカスタマイズでご提供しています。現在、社数限定で開発協力によるフルカスタマイズ無料キャンペーンを実施しています。
1.ボイスボットとIVRの得意な業務の違い

IVRは、電話をかけたユーザーが電話機の番号を押して用件を選ぶ仕組みです。ボイスボットは、ユーザーが話した言葉をAIが聞き取り、音声で答える仕組みです。
この違いによって、自動で対応できる範囲や得意な業務、導入コストも変わります。
(1)ボイスボットが得意な業務
ボイスボットは、ユーザーとの会話を通じて必要な情報を聞き取り、受付まで自動で完結させる業務に向いています。特に効果が出やすいのは、聞き取る項目があらかじめ決まっていて、聞き取った内容を予約システムなどに登録すれば対応が終わる業務です。
| 医療機関や飲食チェーンの予約受付・変更 | 日時、人数、名前 |
|---|---|
| 宅配便の再配達受付 | 伝票番号、希望日時 |
| 通販の注文や資料請求の受付 | 商品名、数量、送付先 |
| よくある質問への回答 | 手続き方法、料金、必要書類 |
| 夜間・休日の一次受付 | 用件と連絡先を聞き取り、翌営業日に折り返し |
よくある質問への回答では、自治体での導入例もあります。香川県高松市では、実証実験でAI電話窓口に寄せられた595件の問い合わせのうち9割以上で適切な案内ができたことから、精度に問題はないと判断しました。
市民課への問い合わせはホームページに掲載されている内容が多く、誤った回答が起きにくい点も導入の決め手になっています。AIで対応しきれない問い合わせは、担当職員に取り次ぐ仕組みです。
※出典:日本経済新聞「高松市、AIによる電話対応を8月から導入 担当職員に取り次ぎ」
(2)IVRが得意な業務
どの窓口につなぐか、どの情報を伝えるかを決めるだけで対応が済む業務であれば、IVRで自動化しやすくなります。
- 担当部署への振り分け
- 営業時間や所在地の案内
- 手続き方法を載せたWebページのURLをSMSで送信
- 混雑時の折り返し受付
- 会員番号や暗証番号など、数字の入力による本人確認
ボタンで入力された数字は信号として読み取るため、聞き間違いが起きません。暗証番号のように周りに聞かれることにユーザーが抵抗を感じる情報も、声に出さずに入力できます。
SMSでWebページを案内する方法は、説明が長くなりやすい手続きの案内で効果を発揮します。音声で長い説明を聞き続けるよりも、ユーザーが自分のペースで画面を読めるため、聞き逃しや問い合わせの電話のかけ直しを減らせます。
2.ボイスボットとIVRのメリット・デメリット

(1)ボイスボットのメリット・デメリット

ボイスボットはユーザーの言葉をそのまま受け取れるため、IVRでは対応しきれない「聞き取りが必要な用件」まで自動化できる点が大きな強みです。
一方で、聞き取りの精度はユーザーの話し方や通話の環境に左右されるため、聞き取りミスが起きることを前提に、復唱確認や担当者への引き継ぎなどの備えが欠かせません。
(2)IVRのメリット・デメリット

IVRは、用件の種類が限られている窓口であれば、少ない費用で導入できます。
ただし、選択肢を増やすほどユーザーが目的の案内にたどり着くまでの手間が増え、使いにくさにつながります。対応したい用件が増えてきた場合は、IVRだけで対応を続けるのが難しくなる点に注意が必要です。
3.ボイスボットとIVRの選び方

ボイスボットとIVRのどちらが合うかは、ユーザーから情報を聞き取る必要がある用件がどれだけあるかと、窓口に届く電話の件数で判断します。
聞き取りが必要な用件が多く、電話の件数も多い窓口ほど、ボイスボットを導入する効果が大きくなります。
(1)ボイスボットがおすすめのケース
ボイスボットは、聞き取りが必要な用件が多く、電話の件数も多い窓口ほど効果が出やすい方式です。次のような窓口に向いています。
- 予約や注文、再配達など、名前や日時を聞き取る必要がある用件が多い
- 着信が集中して応答率が下がり、つながる前に切られる電話(放棄呼)が多い
- 夜間・休日も受付を止めたくない
- 電話機のボタン操作に慣れていない高齢のユーザーが多い
ボイスボットを導入すると、担当者が電話口で聞き取っていた内容を自動で受け付けられるため、電話対応にかかる人手を減らせる可能性があります。同時に複数の電話を受けられるので、着信が集中する時間帯でもユーザーを待たせにくくなります。
ただし、電話の件数が少ない窓口では、導入・運用の費用に見合う効果が出にくい場合があります。月間のコール数が4,000件程度あるかどうかが導入を検討するひとつの目安です。
自社の窓口で効果が出るかは、「月間の対象件数×1件あたりの対応時間×ボイスボットで完結できる割合」で減らせる対応時間を試算し、ボイスボットの費用と比べると判断しやすくなります。
株式会社ストラーツのボイスボット「AnnVoice Agent」は、予約や注文の受付など、聞き取りが必要な用件が多く届く窓口の電話対応を、業務に合わせたフルカスタマイズで自動化します。自社の電話でどのくらいの効果が見込めるかも含めて、お気軽にご相談ください。
(2)IVRがおすすめのケース
- 用件の種類が少なく、担当部署への振り分けが対応の中心になっている
- 営業時間や手続き方法など、案内する内容があらかじめ決まっている
- 電話の件数がそれほど多くなく、導入費用をできるだけ抑えたい
- 電話でどのような用件が多いのかを、まず把握したい
SMSで案内を送り、電話をそのまま終わらせたい用件もIVRに向いています。
たとえば住所変更や解約の手続きページ、店舗の地図、料金表などは、ユーザーに番号を押してもらうだけでSMSを送れます。会話で聞き取る項目がないため、ボイスボットを使わなくても電話の中で用件を終えられます。
また、保険の事故の連絡や、故障・修理の相談のように、ユーザーごとに状況を確かめて判断する必要がある電話は、ボイスボットで聞き取りをしても、担当者が同じ内容を確かめ直すことになりがちです。こうした窓口では、IVRで担当部署へ振り分けるところまでを自動化すると、費用を抑えられます。
ただし、担当者が対応する電話の負担そのものを減らしたい場合は例外です。
担当者が電話口で聞いている名前や契約番号、用件の概要をボイスボットが先に聞き取れば、担当者は確認から対応に入れるため対応時間や負担を軽くできます。
まずはIVRで電話の内訳を把握し、聞き取りが必要な用件が多いとわかった段階で、ボイスボットの導入を検討する進め方もあります。
(3)IVRとボイスボットを組み合わせる方法
IVRとボイスボットは、組み合わせて使うこともできます。代表的な組み合わせ方は次の3つです。
| 組み合わせ方 | 流れ | 向いている窓口 |
|---|---|---|
| IVRで振り分けてからボイスボットにつなぐ | IVRで用件を選んでもらい、「予約」など聞き取りが必要な用件だけボイスボットにつなぐ | 今のIVRを残したまま、一部の用件から自動化を広げたい窓口 |
| ボイスボットで用件を聞いてから振り分ける | ボイスボットが用件を聞き取り、内容に応じて担当部署やIVRの案内につなぐ | 選択肢が多く、IVRの階層が深くなっている窓口 |
| ボイスボットの会話の中で数字だけボタン入力にする | 用件や日時は話して伝えてもらい、会員番号や暗証番号だけはボタンで入力してもらう | 本人確認で番号の入力が必要な窓口 |
IVRで振り分けてからボイスボットにつなぐ方法であれば、今の電話の仕組みを大きく変えずに、効果が出やすい用件からボイスボットを試せます。
その際、IVRで選ばれた用件をボイスボットに引き継ぎ、同じ質問をくり返さない設定にしておくとユーザーの負担を抑えられます。
4.ボイスボットとIVRの仕組み

ボイスボットは会話の中で用件を聞き取って答え、IVRはユーザーが押した番号に応じて案内や転送を行います。処理の流れを知っておくと、導入前に確認すべき点も整理しやすくなります。
(1)ボイスボットの仕組み
ボイスボットは、次の4つの処理を順に行い、ユーザーが話した言葉に音声で答えます。

ボイスボットは③の「回答の作成」の方法によって、シナリオ型と生成AI型の2つの種類に分かれます。
シナリオ型は、あらかじめ用意した回答の中から用件に合うものを選びます。生成AI型は、その場でAIが回答の文章を組み立てます。

(2)IVRの仕組み

IVR(自動音声応答)は、録音された音声ガイダンスで選択肢を伝え、ユーザーが押した番号に応じて案内や転送を行う仕組みです。
公的機関でもIVRの活用が進んでいます。
京都市では、区役所・支所の代表電話にIVRを導入しており、音声ガイダンスに沿って電話機を操作すると、休日や夜間も含めて24時間365日、音声やSMSで行政情報を受け取れます。
ただし、IVRの役割はあくまで用件の振り分けまでです。
会話を通じて用件を最後まで受け付けるのがボイスボットと考えると、違いを整理しやすくなります。
※出典:京都市「区役所・支所への自動音声応答(IVR)電話サービスの本格導入」
5.ボイスボットを導入するときに確認したいポイント

ボイスボットは、サービスごとに聞き取りの精度や使える機能、料金の仕組みが大きく異なります。
導入後に「自社の窓口では使いにくい」とならないよう、自社の用件やユーザーに合わせて、事前に次のポイントを確認しておくことが大切です。
(1)音声認識の精度と聞き取りの工夫
音声認識の精度は、ユーザーの使いやすさに直結します。聞き取りミスが続くと、ユーザーは何度も言い直すことになり、途中で電話を切ってしまう原因になります。聞き取りの精度を支える次の機能が備わっているかを確認します。
- 周りの雑音や方言、早口への対応力
- 聞き取った内容を読み上げてユーザーに確かめる「復唱確認」の機能
- 聞き取れなかったときに、言い方を変えて聞き返す機能
- 商品名や地名など、自社特有の言葉を登録できるか
精度を比べるときは、ユーザーの声を文字に変換する精度(認識率)だけでなく、ボイスボットとの会話だけで用件を最後まで終えられた割合(完結率)を確認することが大切です。自社と近い用件での完結率の実績を提供会社に確認しておくと、導入後の効果を見込みやすくなります。
また、名前や住所は、ボイスボットが声を聞き取れても、漢字の表記までは確定できません。そのため、名前は読み方をカタカナで記録し、漢字の確認が必要な場合は担当者が後から行う形にしたり、住所は先に郵便番号を話してもらい、町名まで絞り込んでから番地を聞き取ったりする工夫が使われます。こうした聞き取りにくい項目への対応方法もあわせて確認しておきます。
(2)有人対応への引き継ぎ
ボイスボットだけでは対応しきれない用件は、担当者へ引き継ぐ必要があります。
引き継ぎがスムーズでないと、ユーザーは担当者に同じ説明を一からやり直すことになり、不満につながります。以下のような引き継ぎの方法を確認します。
- 通話中の電話を、そのまま担当者へ転送できるか
- ボイスボットが聞き取った内容を、文字で担当者に渡せるか
- 担当者が対応できない時間帯に、折り返しの予約を受け付けられるか
担当者が全員ほかの電話に対応している場合に、ユーザーをどのくらい待たせることになるのかも確認しておきます。
待ち時間が長いと、ボイスボットで用件を伝え終えたユーザーが担当者につながる前に電話を切ってしまい、それまでの聞き取りが無駄になってしまう場合があるためです。
(3)CRMやCTIとの連携
ボイスボットがCRMやCTIと連携できると、対応できる業務の幅が広がります。
- 電話番号から顧客情報を呼び出し、本人確認を省ける
- 通話中に予約システムの空き状況を照会し、その場で空いている日時を案内できる
- 受け付けた予約や注文を、予約システムや顧客管理システムに自動で登録できる
- 受付完了後に、受付内容を記載したSMSをユーザーへ送れる
- 通話の内容や結果を記録し、後から担当者が確認できる
今使っているシステムと連携できるか、連携に追加の費用や開発が必要かは、導入前に必ず確認しておきます。顧客情報や通話記録を扱うため、データの保存場所や保存期間、セキュリティ対策もあわせて確認しておくと安心です。
(4)英語など多言語への対応
外国人ユーザーからの電話が多い窓口では、多言語への対応が必要になります。訪日客向けのサービスや、外国人の住民が多い地域の窓口などが代表的です。
- 英語や中国語、韓国語など、対応している言語の種類
- 話し始めた言語をボイスボットが自動で判別するのか、最初に番号で言語を選んでもらうのか
- 言語ごとの聞き取りの精度と、読み上げる音声の自然さ
対応言語が多くても言語によって聞き取りの精度に差がある場合があります。利用が多い言語は、精度を事前に確認しましょう。
(5)料金体系と無料トライアルの有無
ボイスボットの料金は、次のような費用の組み合わせで決まることが一般的です。
| 費用の種類 | 内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 導入時の設定や会話の流れの設計にかかる費用 |
| 月額費用 | サービスを使うために毎月かかる基本料金 |
| 従量課金 | 通話時間や通話件数に応じてかかる費用 |
| 通話料 | 電話回線の利用にかかる費用(サービスの料金に含まれない場合あり) |
月額費用が安く見えても、通話件数が多い窓口では従量課金がかさみ、総額が高くなる場合があります。今の電話の件数をもとに、月々の総額を概算して比較することが大切です。
あわせて、同時に受けられる通話の数(同時接続数)の上限も確認します。そのため着信が集中する時間帯の件数に合ったプランを選ぶ必要があります。
聞き取りの精度や使い勝手は、カタログの数値だけでは判断しにくい部分です。無料トライアルがあるサービスでは、自社でよく届く問い合わせの言い回しを使って、契約前に実際に試せる場合があります。
6.IVRからボイスボットへ切り替える流れ

IVRからボイスボットへの切り替えは、用件を絞って段階的に進めるとミスを予防しやすくなります。
現状を把握することから始め、試しながら範囲を広げていく流れが基本です。
(1)現在の問い合わせ内容を分析する
最初に今の電話にどのような用件が、どれくらい届いているかを把握します。IVRで選ばれた番号の記録に加えて、通話記録や担当者への聞き取りも使い、次の項目を整理します。
- 用件ごとの電話の件数
- 1件の対応にかかっている時間
- 電話が集中する曜日や時間帯
- 担当者が電話口で聞き取っている項目
また、IVRの途中で電話を切られている箇所やその他の番号が多く選ばれている用件も確認しておきます。こうした箇所は、今のIVRではユーザーの用件に対応しきれていない可能性があり、ボイスボットで改善できる候補になります。
(2)ボイスボットに任せる用件を決める
次に分析の結果をもとに、ボイスボットに任せる用件を決めます。
以下のような用件から始めると、効果が期待でき導入後の調整もしやすくなります。
- 電話の件数が多い用件
- 聞き取る項目が決まっている用件(予約受付、再配達受付など)
- 回答の内容が決まっていて、誤った案内が起きにくい用件
切り替えの初期は、ボイスボットで受けきれなかった電話を担当者やIVRの案内に戻せる状態にしておくと、うまくいかない場合でもユーザーへの影響を抑えられます。
(3)会話の流れ(シナリオ)を設計する
任せる用件が決まったら、ボイスボットが何を、どの順番で聞き、どのように答えるかを設計します。担当者が普段の電話でどのように聞き取っているかを参考にすると、ユーザーにとって自然な流れを作りやすくなります。
- 用件ごとに聞き取る項目と、その順番
- 聞き取った内容を読み上げて確かめるタイミング
- 聞き取れなかったときに聞き返す回数と、言い方
- 担当者へ引き継ぐ条件(聞き返しが続いた場合、ユーザーが担当者を希望した場合など)
1回の質問で聞く内容は1つに絞ると、ユーザーが答えやすくなり聞き取りミスも減らせます。
(4)テスト運用で課題を洗い出す
本番の前に、自社の電話環境で、社内での試験通話や時間帯・電話番号を限った運用を行い、課題を洗い出します。設計の段階では想定していなかった言い回しや、つまずきやすい箇所は、実際に使ってみて初めてわかることが少なくありません。
- 聞き取りミスが起きやすい言葉や言い回し
- ユーザーが途中で電話を切ってしまう箇所
- 担当者への引き継ぎが想定より多い用件
- 読み上げる音声の聞き取りやすさや、話す速さ
社内の試験通話だけでなく、年齢や話し方が異なる複数の人に試してもらうと、実際のユーザーに近い形で課題を見つけやすくなります。
(5)本番運用を始め、改善を続ける
テスト運用で見つかった課題を直したら、本番運用を始めます。ボイスボットは導入して終わりではなく、通話の記録をもとに改善を続けることで、対応できる範囲と精度が上がっていきます。
- 聞き取りミスが多い質問の言い方を見直す
- 担当者への引き継ぎが多い用件の会話の流れを見直す
- よく届く質問を回答に追加する
安定して対応できるようになった用件が増えてきたら、ボイスボットに任せる用件を少しずつ広げていきます。改善と範囲の拡大をくり返すことで、IVRからボイスボットへの切り替えを無理なく進められます。
7.まとめ
ボイスボットとIVRは、どちらも電話対応を自動化する仕組みですが、ユーザーが「話す」か「番号を押す」かという点で大きく異なります。この違いによって、自動で対応できる範囲や得意な業務も変わります。
名前や日時などを聞き取る必要がある用件が多く、電話の件数も多い窓口にはボイスボットが向いています。用件の種類が少なく、振り分けや決まった案内が中心の窓口にはIVRが向いています。どちらか一方に決めきれない場合は、両方を組み合わせる方法も選べます。まずは自社の電話にどのような用件が、どれくらい届いているかを把握し、自社の窓口に合う方式を選ぶことが大切です。
株式会社ストラーツのボイスボット「AnnVoice Agent」は、高精度なAIを活用した音声認識・感情分析・自動振り分けを、フルカスタマイズでご提供します。
現在、社数限定で開発協力によるフルカスタマイズ無料キャンペーンを実施しています。通常の導入時にかかるカスタマイズ開発費用と、実務に合わせた検証の費用が無料になり、基幹システムとの連携費用のみで始められます。導入後の運用改善まで一貫して支援する体制も整えています。
ボイスボットの導入やIVRからの切り替えをご検討の際は、ぜひご相談ください。




