チャットボットとボイスボットは、どちらも問い合わせ対応を自動化するツールですが、ユーザーとやり取りする方法が異なります。
本記事では両者の違いと、自社の窓口に合うツールを選ぶための考え方を解説します。
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1.チャットボットとボイスボットの違いは「テキストか音声か」
チャットボットは、Webサイトやアプリの画面で、ユーザーが入力した文字に文字で答える仕組みです。ボイスボットは、電話でユーザーが話した言葉をAIが聞き取り、音声で答える仕組みです。この違いによって、使える場所や得意な問い合わせ、導入の準備も変わります。
| 項目 | チャットボット | ボイスボット |
|---|---|---|
| 使える場所 | ・Webサイト ・LINE ・アプリなど | 電話 |
| やり取りの方法 | ・文字の入力 ・選択肢のタップ | 話す |
| 得意な内容 | 画像やURLを使う案内、手順が長い説明 | 予約や再配達などの受付、用件の振り分け |
| 苦手な内容 | 電話で問い合わせたいユーザーへの対応 | 画面を見せる必要がある案内 |
| 使いやすいユーザー層 | 文字入力に慣れたユーザー | ・文字入力が苦手なユーザー ・電話で問い合わせたいユーザー |
| 導入時の主な準備 | よくある質問や会話の流れの整備 | ・電話回線との接続 ・音声での会話の流れの設計 |
なお、ボイスボットと混同されやすい仕組みにIVR(自動音声応答)があります。
IVRは、音声ガイダンスに沿ってユーザーが電話機の番号を押し、担当部署へ振り分ける仕組みです。以下の記事ではボイスボットとIVRの違いについて詳しく解説しています。

(1)使える場所の違い
チャットボットは、Webサイト、LINE公式アカウント、スマートフォンアプリなど、画面のある場所で使います。ユーザーが自分でサイトやアプリを開いて問い合わせる形です。
ボイスボットは電話で使います。ユーザーはいつもどおり電話をかけるだけで、アプリやサイトを開く必要はありません。
そのため、今どこに問い合わせが多く届いているかが、ツールを選ぶ出発点になります。
(2)やり取り方法と仕組みの違い
チャットボットでは、ユーザーが文字を入力するか、表示された選択肢をタップして用件を伝えます。チャットボットは入力された文字から用件を読み取り、回答を画面に表示します。回答が画面に残るため、ユーザーは読み返しながら手続きを進められます。
一方でボイスボットでは、ユーザーが話して用件を伝えます。以下ではチャットボットとボイスボットの仕組みの違いをご確認いただけます。

チャットボットにはない「声を文字にする」「文字を声にする」処理が加わるため、ボイスボットは周りの雑音や話し方によって聞き取りの精度が変わりやすくなります。
(3)向いている問い合わせ・利用シーンの違い
| 項目 | チャットボット | ボイスボット |
|---|---|---|
| 向いている問い合わせ | 商品の使い方、手続きの手順、料金プランの案内 | 予約の受付・変更、再配達の受付、資料請求 |
| 向いている利用シーン | 電車の中など電話しにくい場面、画面を見ながら進めたい場面 | 急いで連絡したい場面、スマートフォンの操作が苦手なユーザーの問い合わせ |
チャットボットは、画像やリンクを見せながら案内できるため、説明が長くなる問い合わせに向いています。
ボイスボットは、聞き取る項目が決まっていて、聞き取った内容を登録すれば対応が終わる問い合わせに向いています。
2.生成AIを活用したチャットボット・ボイスボットの特徴
生成AIを使うと、決まった流れ以外の質問やあいまいな答えにも対応しやすくなります。
ただし、生成AIを回答を作る部分に使うか、用件を読み取る部分に使うかで、得られる効果と注意すべき点が大きく変わります。
(1)シナリオ型と生成AI型の違い
チャットボットもボイスボットも、回答の作り方によってシナリオ型と生成AI型に分かれます。
| 項目 | シナリオ型 | 生成AI型 |
|---|---|---|
| 回答の作り方 | 用意した回答から用件に合うものを選ぶ | AIがその場で回答の文章を作る |
| 同じ質問への回答 | 毎回同じ | 言い回しが毎回変わる場合あり |
| 導入時の準備の中心 | 会話の流れと回答の設計 | 回答のもとになる資料の整備 |
| 向いている用件 | 予約や再配達など、聞く項目と順番が決まった受付 | 質問の種類が多く、すべての回答を用意しきれない案内 |
シナリオ型は案内する内容をすべて事前に確認できる反面、ユーザーのさまざまな言い回しに対応するには、想定される言い方を事前に登録する手間がかかります。
生成AI型は言い回しの違いに強い反面、どのような回答をするかを事前に確かめきれない場合があります。
なお用件の読み取りにだけ生成AIを使い、回答はシナリオで決めた内容を返す組み合わせ方もあります。
言い回しの違いには柔軟に対応しつつ、案内する内容は事前に確認したものに限定できるため、聞く項目は決まっているものの、ユーザーの答え方がばらばらになりやすい受付業務と相性のよい方法です。
(2)生成AIでできるようになること
生成AIは、対応の前後や運用の場面でも役立ちます。

対応中は、ユーザーの答えを正しく受け取るために生成AIが働きます。
「来週の水曜あたり」のようなあいまいな答えを具体的な日時に置き換えたり、話が脱線しても用件に戻したりできます。
対応後は、会話の内容を要約し、担当者への引き継ぎや対応記録の入力に使えます。担当者が通話後に記録を入力する時間(後処理時間)の負担軽減にもつながります。
運用の場面では、ボットが答えられなかった質問を種類ごとに分類し、回答を追加すべき候補を洗い出せます。会話の記録を一件ずつ読み返さなくても、改善すべき点を見つけやすくなります。
(3)生成AIを活用する際の注意点
料金や契約条件、手続きの期限など、誤った案内がトラブルにつながる用件では、生成AIに回答を作らせるかどうか自体を慎重に判断する必要があります。

誤回答を防ぐには、回答のもとにする資料を社内マニュアルやよくある質問に限定する仕組み(RAG)が基本です。そのうえでAIだけで完結できない問い合わせを担当者へ引き継ぐ設定にすると、誤った案内を予防できます。
導入前には、実際に届いている問い合わせの言い回しでテストし、誤回答の割合と会話だけで用件を終えられた割合(完結率)を確認しておきます。
ボイスボットでは、電話ならではの確認点もあります。
生成AIが回答を作るのに時間がかかると、電話口に無言の時間が生まれ、ユーザーが電話を切る原因になります。
さらに生成AIの文章は長くなりやすく、耳で聞くと内容が頭に入りにくくなります。読み上げに合わせて短くまとめられるかも確認が必要です。
また、ユーザーが話した内容をAIの学習に使わない設定になっているかも、個人情報を扱う窓口では確認が欠かせません。
3.チャットボットとボイスボットのメリット・デメリット
チャットボットもボイスボットも、導入しただけで効果が出るわけではありません。
チャットボットはユーザーに使ってもらえるかどうか、ボイスボットは用件を正しく聞き取れるかどうかで、効果が大きく変わります。
(1)チャットボットのメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| Webサイトで解決できる質問を受け止め、電話の件数を減らせる | ユーザーに見つけてもらえないと使われない |
| 問い合わせが増えても、対応する人を増やさずに済む | 解決しなかったユーザーが電話をかけ直し、問い合わせが二重になる場合あり |
| 会話の記録が文字で残り、ユーザーがつまずいた質問を見つけやすい | 途中で画面を閉じたユーザーが解決できたのか分かりにくい |
チャットボットは、配置場所によって使われ方が大きく変わります。
トップページの隅に置くだけでは気づかれにくいため、よくある質問のページや問い合わせフォームの手前、電話番号を載せたページなど、ユーザーが問い合わせ先を探す場所に置くことが大切です。
効果を確かめるときは、チャットボットの使用後に電話がかかってきていないかを特に確認します。利用件数が多くても電話が減っていなければ、ユーザーの疑問を解決しきれていない可能性が高いためです。
(2)ボイスボットのメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ユーザーはいつもどおり電話をかけるだけで使える | 電話回線との接続や、同時に受けられる通話数の上限を考えた設計が必要 |
| 着信が集中する時間帯や夜間・休日も受け付け、つながらずに切られる電話を減らせる | 氏名の漢字や住所など、音声だけでは正確に受け取りにくい項目がある |
| 聞き取った内容をシステムに登録するところまで自動化でき、担当者の入力作業も減らせる | 機械の音声に抵抗を感じるユーザーもいる |
ボイスボットは、ユーザーに新しい操作を覚えてもらう必要がないため、電話での問い合わせが多い窓口ほど効果が出やすいツールです。
また、ユーザーが有人対応を希望する場合にはすぐに切り替えられる設計にしておくと、機械の音声に抵抗を感じるユーザーも便利に利用できます。
ボイスボットの効果を確かめるときは、会話だけで用件を終えられた割合(完結率)と途中で切られた電話の割合をあわせて確認しましょう。
4.自社に合うのはどちらかを判断するポイント
チャットボットとボイスボットのどちらが合うかは、問い合わせがどこに届いているかと、どのような用件が多いかで判断します。
| 確認するポイント | チャットボットが合う窓口 | ボイスボットが合う窓口 |
|---|---|---|
| 問い合わせが届く場所 | Webサイト、LINE、メール | 電話 |
| 多い用件 | 手順や使い方など説明が長いもの | 予約や再配達など聞き取る項目が決まったもの |
| ユーザー層 | 文字入力に慣れたユーザー | 高齢のユーザー、電話で問い合わせたいユーザー |
| 困っていること | Webサイトを見れば分かる質問が多い | 電話がつながりにくく、切られてしまう電話が多い |
判断に迷う場合は、今の問い合わせを「どこに」「どのような用件が」「どれくらい」届いているかで整理します。電話での問い合わせが多く、聞き取りが必要な用件が多い窓口ほど、ボイスボットを導入する効果が大きくなります。
株式会社ストラーツの電話応対AIサービス「AnnVoice Agent」は、予約や注文の受付など、聞き取りが必要な用件が多く届く窓口の電話対応を、業務に合わせたフルカスタマイズで自動化します。自社の電話でどのくらいの効果が見込めるかも含めて、お気軽にご相談ください。
5.チャットボットとボイスボットを併用する方法

チャットボットとボイスボットを組み合わせると、画面で見たほうが早い用件はチャットへ、人の判断が必要な用件は電話へと、ユーザーを適切な窓口に案内できます。併用の効果を出すには、窓口をまたいでも情報が途切れない仕組みを整えることが大切です。
(1)チャットで解決しない問い合わせを電話窓口へつなぐ
チャットボットで解決しなかったユーザーを電話窓口へ案内する場合は、チャットで聞き取った内容を電話でも使えるようにしておきます。
たとえばチャットの最後に受付番号を表示し、電話でその番号を伝えてもらえば、担当者はチャットの内容を確認したうえで対応を始められます。
反対に、電話では説明が長くなる用件は、ボイスボットからSMSでWebページやチャットボットのURLを送って案内します。どの用件をSMSに回すかは、次のような基準で決めると判断しやすくなります。
| 案内先 | 向いている用件 |
|---|---|
| SMSで画面へ | 地図や料金表、書類の書き方など、見たほうが早いもの |
| 担当者へ | 本人確認が必要なもの、状況に応じた判断が必要な相談 |
SMSを送るときはユーザーに送信してよいかを確認し、送信元や文面から自社からの連絡だと分かるようにしておくと、不審なメッセージと思われるのを防げます。
また、同じユーザーがチャットと電話の両方で問い合わせている場合に、別々の問い合わせとして扱うと対応が二重になります。電話番号などをもとに顧客管理システムで同じユーザーの問い合わせとしてまとめて記録できるかも確認しておきましょう。
(2)FAQやナレッジを共通化して回答内容をそろえる
チャットボットとボイスボットで回答のもとを別々に管理していると、同じ質問でも窓口によって答えが変わる場合があります。回答のもとは共通にしたうえで、答えの内容と窓口ごとの伝え方を分けて管理すると、内容のずれを防ぎながら、それぞれに合った案内ができます。
| 管理する内容 | 共通にする部分 | 窓口ごとに変える部分 |
|---|---|---|
| 答えの中身 | 料金、手続きの条件、期限などの事実 | なし |
| 伝え方 | なし | 画面ではリンクや表、音声では要点のみ |
| 言い換え | なし | 音声では聞き間違えやすい数字や固有名詞を言い換え |
共通化したあとは、どちらのボットでも答えられなかった質問をまとめて分析します。チャットでは解決しているのに電話では解決していない質問があれば、内容ではなく伝え方に原因がある可能性が高く、改善すべき箇所を見つけやすくなります。
6.チャットボットとボイスボットの導入事例
(1)チャットボットの事例:横浜市

横浜市では、LINE公式アカウントのメニューから粗大ごみを選ぶとチャットボットに移り、そのまま申込みができます。粗大ごみの相談は、チャット、メール、電話のいずれでも受け付けています。
さらに、電話オペレーターと同じように相談や申込みができる有人チャットも、月曜から土曜の8時30分から17時まで用意されています。
聞く項目が決まった申込みはチャットボットに任せ、判断が必要な相談は人が対応する形で、複数の窓口を使い分けている例です。
※出典:横浜市「粗大ごみLINE申込み等について」
※出典:横浜市 粗大ごみよくあるご質問「有人チャットで何ができるの?」
(2)ボイスボットの事例:横浜銀行

横浜銀行は、ローンに関する証明書の発行を電話で受け付ける業務に、生成AIを活用したボイスボットを導入しました。年末調整や確定申告の時期に申請が集中し、繁忙期には月1,600件、1日最大150件に上ることが導入の背景です。
ユーザーが問い合わせ窓口に電話し、音声ガイダンスで証明書の発行を選ぶと自動受付が始まります。
答えがあいまいな場合でも店舗などの情報を参照して候補を示し、最終的な確認と発行は本部の担当者が行う流れです。
※出典:コールセンタージャパン・ドットコム「横浜銀行、AIエージェント型ボイスボット導入」
以下の記事では、ボイスボットの導入事例をさらに紹介しています。
7.まとめ
チャットボットとボイスボットは、どちらも問い合わせ対応を自動化するツールですが、ユーザーが「文字で伝える」か「話して伝える」かという点で大きく異なります。この違いによって、使える場所や得意な問い合わせも変わります。
まずは自社にどのような問い合わせが、どこに、どれくらい届いているかを把握し、自社の窓口に合うツールを選ぶことが大切です。
株式会社ストラーツの電話応対AIサービス「AnnVoice Agent」は、高精度なAIを活用した音声認識・感情分析・自動振り分けを、フルカスタマイズでご提供します。
現在、社数限定で開発協力によるフルカスタマイズ無料キャンペーンを実施しています。電話対応の自動化をご検討の際は、ぜひご相談ください。



