コールセンターに蓄積された大量の通話記録やチャット履歴をテキストマイニングで分析することで、顧客ニーズの把握や応対品質の改善を体系的に進めることができます。ただし、分析結果を実際の改善施策へ落とし込むには相応の人的リソースが必要であり、コールセンターの規模や体制によっては、分析後の運用が課題となる場合もあります。
本記事では、テキストマイニングの概要から分析項目、具体的な活用方法、導入の流れ、ツール選定のポイントを解説します。
株式会社ストラーツの「電話応対AIサービス」は、AIによる自由発話対応で電話受付の一次対応を自動化させられ、録音音声や文字起こしもいつでも閲覧可能です。CTIや基幹システムともスムーズに連携できるため、テキストマイニングの分析結果をすぐに改善施策へ反映し、実行サイクルを止めずに回し続けられます。通販・EC、通信・IT、メーカー、航空・旅行など、業種を問わず導入が可能ですので、詳細はお気軽にご相談ください。

1.コールセンターにおけるテキストマイニングとは

テキストマイニングでは、日々蓄積される顧客からの問い合わせ履歴や、通話音声をテキスト化したデータなど大量のテキストデータに統計的・言語的な処理を施し、有用な情報やパターンを抽出できます。
まずは、コールセンターで注目されている背景と分析可能な項目、そしてVOC分析との関係について整理します。
(1)コールセンターでテキストマイニングが重視されている理由
音声認識精度の向上やクラウド型分析ツールの普及により、導入しやすく即活用ができる環境が整いつつあります。
さらに、コールセンターの運営コスト削減や品質向上に対する経営課題としての優先度が上がっていることも、導入検討が進む要因のひとつです。
例えば、一般社団法人日本コンタクトセンター協会(CCAJ)が発行する業界レポート(2025年1月号)のなかでも、多くの主要な関連企業が生成AIやテキストマイニング技術を掛け合わせた応対履歴の自動要約・メール草案作成などを重要テーマに掲げています。
参考:https://ccaj.or.jp/ccajnews/pdf/ccajnews334.pdf
自然言語処理技術と分析ツールの融合により、現場主導での業務変革や効率化が現実的なものとなっており、業界全体でテキストデータを経営課題の解決に活かす取り組みが急速に本格化しています。
(2)コールセンターのテキストマイニングで活用できるデータソース
コールセンターでテキストマイニングを導入・運用するにあたっては、社内に点在するどのデータソースを分析対象にするかを明確にする必要があります。
主なデータソースと、そこから抽出・分析できる具体的な項目、および実務上の役割は以下の通りです。
| 対象データソース | 抽出・分析できる主な項目 | コールセンター実務における役割 |
|---|---|---|
| 音声認識テキスト(顧客とオペレーターの生の通話ログ) | キーワード頻度、共起関係、重要フレーズ、トピック自動分類、センチメント(肯定・否定・中立) | オペレーターの要約メモには残らない詳細な顧客の声や、不成立・離脱に繋がった本質的な要因を検知する |
| オペレーターの応対メモ(CRMや顧客管理システム上の記録) | 業務に関連する要約テキスト、対応日時、処理ステータス、過去の対応履歴 | 限定された業務領域に偏っているためノイズが少なく、辞書の構築負荷を抑えて迅速に大まかな傾向を把握できる |
| テキストチャネルの履歴(チャット、メール、FAQの検索ログ) | チャットの対話テキスト、メール本文、検索キーワードの推移 | 電話以外のチャネルにおける顧客の自己解決プロセスのボトルネックや、Web上での潜在的なニーズをあぶり出す |
| 顧客アンケートの自由記述(VOC・満足度調査データ) | 不満や要望の具体内容、属性データ(年齢・性別・地域)との掛け合わせ | 顧客満足度のスコアと自由記述テキストを連動させ、満足・不満の決定打となった因果関係を明確にする |
例えば、通話音声・システムログで検出した沈黙や保留の長期化と、音声認識テキストの感情分析結果を組み合わせることで、オペレーターのスキル不足による対応の滞りと顧客の不満感情の相関関係を特定することができます。
また、テキストチャネルの履歴と顧客アンケートの自由記述を併せて分析することで、電話以外のチャネルにおける課題と顧客満足度の関連性を把握することも可能です。
なお、各データソースには個人情報が含まれるため、収集・分析にあたっての取り扱いの詳細は4章(2)で解説します。
(3)コールセンターのテキストマイニングの手法

コールセンターに蓄積される通話ログや応対メモは、そのままではデータ分析ができない非構造化データ(定型化されていない文章データ)です。これらを実務に役立つ客観的なデータへ変換するために、主に以下の6つの解析手法が活用されます。その他にも手法はあるため、状況にあった手法の選定が求められます。
①形態素解析と頻出語抽出

文章を単語(名詞、動詞、形容詞など)の最小単位に分解し、それぞれの品詞を特定した上で、出現頻度をランキング化する手法です。
コールセンター内でその時期にどのような言葉が多く使われているかをカウントすることで、急増している問い合わせテーマや、新たなシステムトラブルの兆候を早期に把握する前処理ステップとして機能します。
②共起分析(ネットワーク分析)

共起分析は、特定の単語と同時に使われやすい単語の組み合わせ(共起関係)を統計的に分析する手法です。
例えば、単にエラーという単語の頻度を見るだけでなく、エラーと同時にログインや画面フリーズという言葉に結びついて出現している傾向を可視化することで、顧客が直面している具体的な課題の構造を特定できます。
③相関分析

全体平均と比較して、特定のデータ群(例:予約が成立しなかった通話、あるいは特定の年代からの苦情など)において有意に出現割合が高くなっている言葉を特定する手法です。
単純な頻度ランキングでは挨拶などの一般的な言葉に埋もれてしまう本質的な要因を、統計的な相関の強さから正確に検知することができます。
④感情指標解析(センチメント分析)

喜び、不安、怒り、悲しさといった感情を定義した辞書や機械学習を用いて、テキストに含まれる顧客やオペレーターの感情発現をスコア化する手法です。応対の初期段階での怒りや不安の感情が、オペレーターの回答指導によってどのように解消されたかを定量的に測定できるため、応対品質の評価やスタッフ教育の効果検証に直結します。
⑤因果関係分析

苦情や不満のテキストデータを解析し、要素間の影響度や因果関係をモデル化する手法です。ただ大声で苦情を申し立てる表面的な事象(結果)に惑わされることなく、その背景にある要因(例:受付の順番への不満や説明不足など)を特定し、限られた人員の中でどの業務改善から優先的に手を打つべきかという意思決定を支えます。
⑥分散表現と抽出的要約技術

単語の意味を数値として表現する分散表現を用い、長大な通話テキストを時系列で区切りながら、顧客の質問内容などの重要文を段階的に抽出して要約する手法です。言い淀みや相槌が混在する生の会話から重要な発話を削ることなくコンパクトに圧縮できるため、オペレーターによる応対履歴のシステム登録業務の手間を省き、後処理時間(ACW)の短縮につなげることができます。
(4)テキストマイニングとVOC分析の関係

VOC(Voice of Customer)分析とは、顧客の声を収集・分類し、製品・サービス改善や業務改善に活かす取り組みの総称です。一方でテキストマイニングは、VOC分析を実施するための具体的な手段のひとつに位置づけられます。
従来のVOC分析では、応対メモの手動集計やアンケートの選択肢集計が中心で分析対象が限定的になりやすく、担当者の主観が入る余地もありました。
ここにテキストマイニングを活用することで、より広範なデータを客観的に処理し、VOC分析の精度と網羅性を高めることが可能になります。以下の記事では、コールセンターのVOC分析について詳しく解説しています。

2.コールセンターにおけるテキストマイニングの活用方法

テキストマイニングはデータを分析するための技術ですが、実際の価値は分析結果を業務改善にどう活かすかによって決まります。ここでは、コールセンター運営において実務的に活用が進んでいる5つのユースケースを解説します。
(1)問い合わせ内容の傾向分析
テキストマイニングによって全件データをリアルタイムまたは定期的に処理できれば、問い合わせの件数だけでなく、顧客が発した生の言葉に含まれる具体的な内容や課題の変化を定量的に把握することが可能です。
例えば、一定期間のデータを集計し、頻出キーワードの組み合わせから導き出したトピックの上位ランキングや月次推移をレポート化する運用が挙げられます。
オペレーターの手動入力による大まかなカテゴリ分類だけでは見落とされがちな特定の画面操作やエラーに関する細かい問い合わせの急増をいち早く検知できれば、その内容をもとに製品マニュアルや案内ページの改訂を即座に検討する根拠とすることもできます。
(2)商品・サービス改善への活用
感情分析や重要フレーズ抽出の機能を活用することで、顧客が発した強い不満や、アンケートには現れない潜在的な要望を体系的に把握することができます。
感情スコアが一定水準を下回る応対記録を自動抽出し、優先的に分析する運用では、商品に対する不満やクレームに発展しやすい具体的な予兆やサービスへの不満表現のパターンをデータから定義し、製品の欠陥や仕様上の使いづらさを早期に検知するための指標として活用することが可能です。
テキストマイニングによって抽出したこれらの生きた不満・要望は、製品部門や開発部門への客観的なフィードバック資料としてそのまま活用できるため、コールセンター内にとどまらず、企業全体での部門を縦断した商品・サービスのブラッシュアップ(品質改善)に大きく貢献します。
(3)応対品質の改善
音声認識システムとテキストマイニングを掛け合わせることで、全応対データから品質に関わる要素を多角的に抽出できます。
あいさつや確認フレーズの使用有無、説明の網羅性に関わるキーワードの出現率といった会話の中身(テキスト)に加え、保留回数や応対時間の長さ(音声・ログ指標)との相関などを分析し、これらの指標をオペレーター別・チーム別に集計することで、教育・指導の優先度を客観的なデータに基づいて決定できます。
ただし、システムを利用する場合でも評価指標の設計に関しては、現場のスーパーバイザーと密に連携し、実態に即した分析項目を設定することが重要です。
自動化されたスコアリングと現場の感覚をすり合わせることで、オペレーターが納得感を持ってスキルアップに取り組める体制を構築できます。

(4)FAQやチャットボットの高精度な改善
テキストマイニングで頻出する質問パターンやキーワードを抽出することで、ユーザーが本当に知りたかったにもかかわらず、既存のシナリオが網羅できていなかった未対応領域を特定し、コンテンツ拡充の優先順位を明確に決定することができます。
さらに、FAQやチャットボットの更新サイクルとテキストマイニングの分析サイクルを連動させる運用フローを整備することで、手動での課題抽出にかかる工数を大幅に削減します。
結果として継続的な維持・改善に際する運用コストを削減することも可能です。
(5)退会・解約リスクの早期検知と顧客離脱防止
顧客が発する解約の予兆をテキストマイニングで早期に検知できれば、競合他社への乗り換えやサービスの利用停止を未然に防ぐ能動的なアプローチが可能になります。
過去に離脱した顧客の応対テキストデータをマイニングすると、他社、プラン変更、あまり使っていないといった特定キーワードが現れるパターンや予兆フラグを確認できる場合があります。
(6)コンプライアンス違反・インシデントの自動チェック
従来のコールセンターでは、品質管理担当者が一部の通話データをランダムに抽出して確認するサンプリング調査が主流であり、重大な違反や見落としのリスクを完全に排除することは困難でした。
しかし、テキストマイニングによって全応対をデータ化できれば、誇大広告につながる表現や、クレジットカードの暗証番号といった取得禁止ワードの有無を確認できます。
(7)オペレーターの定着率向上・メンタルケア
テキストマイニングの活用によって、精神的な負荷が高い激しいクレーム対応や、オペレーターの沈黙や保留が異常に長くなってしまった対話データを自動で抽出できます。
さらに感情分析によって強度のネガティブと判定された通話や、特定の不満ワードが飛び交った応対をシステムが特定できれば、離職を適切なタイミングで防ぐための社内管理としても大きな効果を発揮します。
ケアが必要な応対が発生した際、スーパーバイザーなどの管理者に通知が届く仕組みを整えることで、コールセンター全体の定着率向上と健全な組織運営に役立てられます。
3.コールセンターのテキストマイニング活用事例
(1)感情指標解析に基づく短期間でのスタッフ教育と満足度向上

筑波大学大学院などの研究チームが実施した大規模コールセンターの応対データ解析では、大手企業に寄せられた約21,000件の問い合わせとそれに対する回答テキストを対象に、喜び、不安、怒り、悲しさの4つの感情辞書を用いた感情指標解析、および単語頻度・共起解析を実施しました。
前半のデータを分析して得られた知見を基にオペレーターへの回答指導(教育)を行い、その後取得した後半データとの比較による効果測定を行ったところ、適切な回答指導を行った後は、短時間(15分以内)で処理された応対において、ユーザーの怒りの感情発現が有意に減少し、不安や悲しさといった初期のネガティブな感情が効率的に解消されていることが定量的に確認されました。

(2)行政相談窓口における属性データとテキストデータの掛け合わせ分析

国土交通省の研究所などが行った行政相談窓口の対応記録に対するテキストマイニングの実証研究では、日々蓄積される膨大な相談テキストと顧客属性データを組み合わせることで、潜在的なニーズや地域ごとの課題を可視化することに成功しています。
特定の路線において外灯や道路の見通しに関する相談が偏って多く発生しているといった、大まかなカテゴリ集計だけでは見落とされがちな具体的な問題点を自動であぶり出すことができています。

(3)医療機関における苦情データの因果関係分析と対応の最適化

大学や医療機関が共同で行った病院への苦情データに対するテキストマイニングの研究では、蓄積された膨大な不満の声を解析し、真に改善すべき課題の優先順位を明確化した事例があります。
約2,800件の苦情テキストを対象に、単語のつながりや年代・性別ごとの特徴を分析した上で、要素間の影響度を測る高度なデータ解析手法を採用した結果、ただ大声で苦情を申し立てる表面的な事象に惑わされることなく、その背景にある真の原因を特定することに成功しています。
特定の年代における大声の背景には受付の順番や待ち時間への不満があり、検査に関する苦情の多くは医師や看護師による説明不足が原因であるといった、感情の引き金となる因果関係を可視化しました。
参考:https://www.msi.co.jp/solution/stuaward/2016/No19_muc16_TMS.pdf
(4)分散表現と要約技術を用いた通話テキストの自動要約と後処理時間短縮

日立ソリューションズ東日本が実施した実証実験では、音声認識によってテキスト化された長大な通話データに対し、単語の分散表現と高度な抽出的要約技術を適用し、オペレーターの業務負荷削減における有効性を実証しています。
段階的に要約を行う手法で実際の通話データ60本分を用いて検証を行った結果、全体の文字数を約20%に圧縮した段階において、顧客の質問内容が含まれる重要文の再現率が65.8%に達し、一括処理を行う従来手法と比較して再現率を10.5%向上させることに成功しました。
オペレーターによる通話記録のシステム登録業務や後処理にかかる時間を直接的に削減できるとともに、データ分析用に短時間で会話内容を正確に把握する仕組みとして注目されています。

(5)産官学連携による市民の声分析と自治体情報発信施策の効果検証

青山学院大学と複数の自治体(東京都町田市、神奈川県相模原市)が共同で継続しているコールセンター応対記録のテキストマイニングプロジェクトでは、年間約10万件にのぼる自治体コールセンターのデジタル応対記録を対象に時系列での内容分析を実施しました。
全入電の約20%を占めるごみ処理関連のテキストマイニングを行い、新施策であるごみカレンダー導入前後の問い合わせ傾向の変化を測定した結果、収集日時の問い合わせが減少した一方で、資源ごみの分別に関する疑問は解消されていないという局所的な課題をあぶり出しました。この定量的な分析結果は、分別ガイドと合体させた新たなカレンダーの改訂や、情報サイトの構築という具体的な行政施策へ反映されています。

4.コールセンターでテキストマイニングを実施する流れ

ここでは、コールセンターでテキストマイニングを導入・運用する基本的なステップを解説します。
(1)分析目的を設定する
テキストマイニングの分析目的は、問い合わせ件数の削減、後処理時間の短縮による業務効率化、応対品質の向上、製品改善への情報提供など、具体的なアウトカムとして定義します。この際、改善テーマを決めるだけでなく、削減すべき入電数や削減目標時間など、現状の業務負荷に対する具体的な評価指標(KPI)をセットで設定することが重要です。
目的に応じて、分析対象とする期間・チャネル・問い合わせカテゴリを絞り込み、分析結果を誰がどのように活用するかも事前に定めることで、レポート形式や更新頻度の設計に反映させることができます。
また、分析目的を関係部門と共有したうえで合意を取り、優先度を決定してから着手することも不可欠です。
そのうえで特定の製品カテゴリや期間を絞った実証実験からスモールスタートし、設定した目的が達成可能かを段階的に検証していくアプローチが手戻りを防ぐ上で極めて有効となります。
(2)分析対象データを収集する
分析目的が定まったら、対象となるテキストデータを収集・整備します。
音声通話を文字起こしした応対テキスト、オペレーターが入力した応対メモ、チャット・メールの履歴、アンケートの自由記述欄などのデータは保存形式やシステムがそれぞれ異なるため、分析ツールに取り込める共通形式への変換が必要になる場合があります。
さらに問い合わせ日時、顧客属性(年齢・性別・地域)、対応時間、顧客満足度といったメタデータをテキストと紐づけて同時に収集することで、高度なクロス分析や因果関係の特定が可能になります。
また、セキュリティー面においては個人情報保護の観点から、顧客の氏名・連絡先・クレジットカード番号などの個人情報は事前にマスキング処理を施したうえで分析用データとして扱う必要があります。
個人情報の取り扱いについては、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)および社内規程に従い、データの利用目的・保存期間・アクセス権限を事前に整理し、安全性が担保された環境でデータ収集の仕組みを構築してください。
(3)テキストデータを分類・分析する
収集したデータを分析ツールに投入するフェーズでは、形態素解析によって文章を単語単位に分割したうえで、頻出語句の集計、共起分析、感情分析、トピック分類などを順次実施します。
分析の精度は、専門用語や固有名詞の登録などの辞書の整備状況に大きく左右されるため、コールセンター固有の専門用語や製品名・サービス名を事前に辞書登録しておくことが精度向上につながります。
さらに、分析において本質的ではないノイズとなる一般的な挨拶や接続詞などの単語をストップワードとして除外する設定を行うことも、データのノイズを減らす上で重要です。
実際の分析を進める際は、相関分析の手法を重点的に用いることが、本質的な課題の発見において有効です。頻度ランキングだけでは挨拶などの一般的な言葉に埋もれてしまう課題を、統計的な相関の強さから検知できるためです。
ツールの初期設定項目と継続的な辞書管理を適切に行える社内体制を整えるか、専門のデータサイエンティストやベンダーのサポートを有効活用することが求められます。
(4)分析結果から課題を特定する
頻出キーワードの実際の発話例を精読したり、問い合わせ件数の推移や時系列のトレンドと照らし合わせたりして、課題の背景にある顧客心理の解釈を深める作業では、感情の引き金となった応対プロセスやシステム上の不備など、課題の背後にある因果関係の構造まで特定することが重要です。
その上で、コールセンターの現場担当者やスーパーバイザーとのすり合わせを行い、データが示す傾向が現場感覚や実際の応対実態と整合しているかを確認することが求められます。
さらに、抽出された複数の課題に対し、顧客満足度や業務効率化への影響度を評価し、どの課題から優先的に手を打つべきかという優先順位の明確化までをこのフェーズで行うことで、実効性のある改善施策への確実な動線が確保されます。
(5)改善施策を実行・検証する
特定した課題に対して改善施策を立案・実行し、その効果を検証する施策の例として、FAQページの更新、応対スクリプトの改訂、オペレーター向けトレーニングの実施、製品部門や他部門への改善要望の提出などが挙げられます。
施策実行後は、施策実施前のデータ(前半)と実施後のデータ(後半)を同じ条件・指標で比べる前後比較のアプローチを取り入れ、一定期間後に同じ条件でテキストマイニングを再実施し、対象キーワードの出現頻度の減少や感情スコアの改善、あるいは対応時間の短縮といったKPIの推移を確認することで、施策の具体的な効果測定を行います。
この際、施策の実行タイミングと検証データの抽出タイミングをあらかじめスケジュール化しておくことで、検証漏れを防ぎ、正確な効果検証が可能になります。
さらに、検証によって効果が確認された分析パターンを定型レポートとして抽出業務を自動化・省力化することで、分析にかかる運用コストを抑えつつ、センター全体の生産性と顧客満足度を中長期的に引き上げる仕組みへと定着させることが可能です。
5.コールセンター向けテキストマイニングツールの選び方

ここでは、コールセンター向けツールを選定する際に確認すべき4つの観点を解説します。
(1)連携性・外部システムとの拡張性
コールセンターのデータは、音声通話の録音ファイル、自動音声認識システムが出力するテキストログ、チャット履歴など複数の形式で存在するため、ツール選定では自社が保有するデータや周辺システムとどこまで連携できるかを確認する必要があります。確認項目は次のとおりです。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 音声認識・録音システム | 音声データまたはテキストログの自動取り込みに対応しているか |
| テキストデータソース | チャットログやメール履歴など多様なテキスト形式と直接連携できるか |
| 音声認識エンジン | 外部の文字起こしサービスとAPI連携できるか、またはツール自体に内蔵されているか |
| ローデータへのアクセス | 分析画面上のテキストから元の音声ファイルの該当箇所へアクセスできるか |
| 外部システム連携 | CRM、FAQ・ナレッジシステム、BIツールなどと双方向でデータ連携できるか |
これらの連携性が不足していると、分析対象データの取り込みや分析結果の活用が個別作業に分断されやすくなります。そのため、分析結果を業務改善やマーケティングに活かすには、入力側だけでなく出力先となる周辺システムまで含めて連携範囲を確認することが必要です。
加えて、定常的な分析パターンについては、定型レポートを自動抽出できる機能の有無も確認します。事前のトライアル期間には、自社の実際の通話データを用いて、音声認識エラーが含まれた状態でも業務上有益な知見を得られるか、業種固有の専門用語や製品名を実用レベルで処理できるかを検証します。
(2)メンテナンスの容易性
テキストマイニングの精度を維持・向上させるためには、コールセンター固有の専門用語や新製品名の辞書登録、およびストップワード(不要語)の設定といった継続的なメンテナンスが不可欠です。
したがってツール選定においては、これらの前処理や設定の変更が、専門知識を持たない現場のスーパーバイザーや担当者にも直感的に行える操作性を備えているかを確認することも重要です。
(3)提供形態
テキストマイニングツールのシステム基盤には、自社環境内に専用サーバーを構築するオンプレミス型と、インターネット経由でサービスを利用するクラウド(SaaS)型があり、自社のセキュリティーポリシー、予算、導入スピードに応じて適切な形態を選択する必要があります。
金融機関や官公庁など、業界の安全対策基準(FISCなど)への準拠が義務付けられている場合は、専用線による閉域網接続が選べるかどうかも重要な確認事項です。
6.まとめ
コールセンターのテキストマイニング導入にあたっては、分析目的の明確化とデータ整備を最初のステップとして位置づけ、ツールの選定は自社データへの対応範囲・既存システムとの連携・サポート体制の観点から比較検討することが重要です。
また、テキストマイニングはあくまで分析の手段であり、得られた示唆を施策に落とし込む運用フローを社内で整備することで、継続的な改善効果を得ることができます。
株式会社ストラーツの「電話応対AIサービス」は、導入前の課題把握、シナリオの最適化、業務・運用フローの提案、導入前検証を無料で行っています。導入後のシナリオ修正や設定変更を自社で担う運用形態のサービスもありますが、当サービスでは専属のエンジニアが導入後も継続的に伴走し、フルカスタマイズを継続する体制を整えています。
テキストマイニングで見えた課題を、すぐに応対フローへ反映できる体制を整えたい企業は、ぜひお気軽にご相談ください。



